中国国家衛生・計画生育委員会が19日に発表した情報によると、中国疾病予防コントロールセンターの検査を経て、江西省南昌市の73歳の女性がH10N8型鳥インフルエンザウイルスに感染し、12月6日に呼吸困難に陥りショック死したことが確認された。これは中国で初めて確認された、H10N8型のヒト感染の死亡例だ。京華時報が伝えた。
患者は臨床診断で重傷の肺炎とされ、他にも高血圧・心臓病・重症筋無力症などの基礎的な疾病が見られ、免疫力が低下した。情報によると、患者は生きた家禽市場で働いていたという。患者は11月30日に南昌市の病院に運び込まれ治療を受けたが、12月6日に呼吸困難によりショック死した。患者に接触したすべての人からは、異常が確認されていない。
同センター緊急センター主任の馮子健氏は、「H10N8型の感染源については、完全に特定されていない。患者が生きた家禽市場で働いていたという情報は、一つの手がかりにしかならない」と語った。
中国の衛生部門は近年、インフルエンザと原因不明の肺炎に対するモニタリングを強化しており、H1・H3・H5・H7などの各インフルエンザウイルスを発見し、インフルエンザなど呼吸器感染症の予防を強化している。馮氏は、「動物のインフルエンザウイルスのヒト感染はこれまでも発生していた。今回発見されたH10N8型のような偶発的な例は、中国の疾病モニタリングおよび実験室の検査能力の向上と大きく関連している。以前から存在していたが、発見されていなかったというわけだ。同ウイルスが人体から検出されたのは、今回が初めてだ」と述べた。
◆全国でH10N8型をモニタリング
馮氏によると、関連部門は現在H10N8型のモニタリングを強化し、動向を見守っている。H10N8型はその他のヒトに感染する動物インフルエンザウイルスと、全国モニタリングシステムに組み入れられている。
インフルエンザウイルスはABC型に分かれる。そのうちA型ウイルスの特性は「HxNx」といった形で140種余りの亜種に分かれる。馮氏は、「中国の関連するモニタリングシステムは、改善が続けられている」と語った。