2014年01月06日-01月10日
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中国人科学者、糖尿病・肥満症を治療する新型カニューレを開発

2014年01月09日

特殊なカニューレ(体腔・血管内などに挿入するパイプ状の医療器具)を作り、これを人体の胃と連結させる。食物は十二指腸を飛び越えるため、消化・吸収されない。2型糖尿病の患者は、美味しい料理を眺めながらため息をつかなくて済むようになる。科技日報が伝えた。
 南京医科大学消化内視鏡研究所所長の範志寧教授のチームは、肥満症と糖尿病を治療する十二指腸カニューレおよび関連機器を開発した。同設備はこのほど、国家発明特許を取得した。
 国際糖尿病連合(IDF)のデータによると、中国の2013年の糖尿病患者数は9840万人に達し、世界最多となった。2035年にはこの数値が1億4300万人に達すると見られ、治療・予防の厳しい状況が予想される。伝統的な治療法のうち、食事制限は患者に多くの支障をもたらすほか、効果も限られている。血糖降下薬やインシュリン、治療装置は価格が高額で、長期的もしくは一生に渡り使用しなければならない。
 範教授のチームが開発したカニューレはチタン合金の骨組みをチューブで覆ったもので、内視鏡技術により切開することなく人体に埋め込むことができる。上端は十二指腸と胃の交わる位置、下端はトライツ靭帯の下で固定される。移植後、胃からの食物はカニューレ内を通過し、胆汁と膵液はカニューレの外に隔離され、「分流」を実現することで食物の消化吸収を妨げる。このカニューレは、2型糖尿病に特に効果的だ。
 実験によると、このカニューレを移植しても腸全体の栄養吸収には大きな影響がなく、糖尿病患者の体内の血糖降下ホルモンが活発化し、インシュリンに対する敏感性が高まった。
 このカニューレを移植すれば、患者の食事制限が解除され、生活の質を高めることができる。血糖値がカニューレにより抑制されるため、薬物は補助的役割に変わる可能性がある。患者の個人的な特徴や病気の状態は非常に複雑なため、カニューレがどの患者にも使用できるかについては、現時点では断言できない。しかしこのカニューレは移植後に取り外しが可能なため、患者の権益を守ることができる。内視鏡により、カニューレの取り外しは非常に簡単だ。これは類似する侵襲性・不可逆の減量手術より優れており、胃腸の構造を変化させることもない。

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