2014年01月20日-01月24日
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中国のネットに大規模な異常、米国企業が関連か

2014年01月22日

 中国のネットユーザーの一部が、21日に「フリーズ状態」に陥った。21日午後3時10分頃、中国の多くのネットユーザーが、国内の複数のサイトにアクセスできなくなったと報告した。一部のサイトの管理者は、「今回アクセス不可になったのは、国内のルートドメインに何らかの問題が生じ、複数のサイトでドメイン名解析が正常に行われなくなったため」と指摘した。具体的には、ドメイン名解析の結果、多くが米国の複数の応答しないIPアドレスと解析されてしまうというもので、複数の省のユーザーが、ネットワークの異常を報告した。この原因は、世界のネットワーク上のノードに故障が発生し、中国国内の3分の2のDNSがフリーズ状態に陥ったためと分析されている。一部のユーザーはウェブサイトにアクセスした際に、「65.49.2.178」というIPアドレスに切り替わり、閲覧しようとしていたサイトにアクセスできなくなった。このIPアドレスの情報を分析した結果、米ノースカロライナ州のカリーに位置するダイナミック・インターネット・テクノロジー社のものであることが明らかになった。中国の多くの有名IT企業のドメイン名が、同アドレスに解析された。環球時報が伝えた。
 記者が21日夜に調査を進めたところ、同社は検閲回避ソフト「フリーゲート」を開発した企業であった。記者が同社の名称とアドレスに基づき調査を進めたところ、同社のビル・シアCEOは、フリーゲートの創始者であることが分かった。同社のウェブサイトによると、その提携先には大紀元、ボイス・オブ・アメリカ、ラジオ・フリー・アジアなどが含まれ、中国のネットユーザーに対して、アクセスが禁じられているウェブサイトにアクセスするサービスを提供している。記者が同社にEメールで問い合わせたところ、ビルCEOは「本件は当社と関係がなく、むしろDNSが第3者に乗っ取られた可能性がある」と回答した。
 中国ではかつて、ルートドメインの故障が2度発生したことがある。1度目は2013年7月6日で、中国聯通(チャイナ・ユニコム)の上海支店である上海聯通のDNS設備に故障が発生し、2G・3G携帯電話のユーザーのネット接続が不可能になった。2度目は2013年8月25日で、「.cn」をルートドメインとするサーバーが故障した。今回は5カ月の時を隔てて、国内で再びDNSの故障が発生した。
 このほど不具合が発生したトップレベルドメインは、「.com」であった。インターネットにおいて、特定の組織に付与されているトップレベルドメインは、その組織の英文名を示すいくつかの頭文字によって構成される。一般的に用いられているドメイン名には、「.com」、「.net」、「.org」などがある。
 トップレベルドメインは、ルートサーバーと大きく関連している。後者はインターネットの主目録を管理し、世界には「A」から「M」までの13台しか存在しない。そのうち10台は米国に、3台は英国・スイス・日本に置かれている。すべてのルートサーバーは、米国政府が授権するドメイン名・ナンバー配分機構のICANNによって一元管理されている。ICANNは世界のルートサーバー、ドメイン名システム、IPアドレスなどの管理を担当している。
 中国国家革新・発展戦略研究会ネット空間戦略研究センター長の秦安氏は、「中国のトップレベルドメインのルートサーバーの故障により、大部分のサイトが影響を受けた事件には注目すべきだ。今回の事件を分かりやすく説明すると、せっかく航空券を買って空港に行ったのに、空港全体が機能を停止しており、出発できなくなったようなものだ。今回はこれほど大きな範囲に影響が生じ、一般的な中国のネットユーザーさえも不便を感じた」と指摘した。
 秦氏は、「今回の件が、一部のハッカーによるものか組織的な犯行によるものであるかは、重要なことではない。重要なことは、現在は単独のハッカーにせよ、国家機関による組織的な行為にせよ、人々が依存しているネットワークに大きな破壊をもたらせる点だ。人類社会が世界サイバー大戦に向かいつつあるという説は、もはや遠い未来のことではなくなった。本件はサイバー大戦の警鐘と捉えることができる」と語った。

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