中国自動車メーカー・比亜迪(BYD)の新型電気自動車(EV)について、英国のタクシー会社に勤務するドニーさんは「車内は静かで、モーターの回る音がほとんど聞こえない。それに排気ガスが出ないことを考えると気分が良い。これは環境にとって素晴らしいことだ」と高く評価した。
比亜迪は2月11日にロンドンで、同タクシー会社に20台のEVを交付した。すべてのタクシーにEVを使用しているタクシー会社は、同社がロンドン初となった。比亜迪欧州事業部門総経理の何一鵬氏は本紙記者に対して、「英国はEVの重要な市場で、進出のハードルが高く、手続きが複雑だ。当社が英国市場に進出できたことは、車両の安全指数と品質基準が認められたことを意味する」と語った。
繁華街における大気質の基準超過が近年多発していることから、ゼロ排出はロンドン自動車市場の大きな流れとなっている。ロンドンのボリス市長は、2018年より市場に進出する黒塗りタクシー(主に市街地で活動)は、ゼロ排出を実現しなければならないと提唱している。何氏は、「一歩先んじて市場に進出することで、口コミを集めシェアを占めることができる。当社はその他のタクシー会社とも交渉中で、ロンドン市場により多くのEVを投入していく」と述べた。
同タクシー会社は昨年誕生した、ゼロ排出の新エネ車のみの使用を計画している初の個人タクシー事業者だ。同社の役員は本紙記者に対して、「当社は年末までにタクシーの台数を1000台とし、うち200台を比亜迪製とする。高い品質の他に、比亜迪が開発した新充電設備は、30分間でバッテリーを80%まで充電でき、ロンドンの既存の低圧充電設備より効率が高い。当社は将来的にBGグループ(英国のガス大手)と提携し、このような充電設備の建設を拡大していく」と説明した。
ロンドン交通局は昨年12月、初となるEVバスの試運転プロジェクトをスタートさせた。英国のバスは現在、すべて省エネ・排出削減型のハイブリッド車(HV)になっている。試運転後、ロンドン交通局はEVバスの導入を拡大する計画を制定し、ロンドン市長の市街地ゼロ排出の提唱に応じる可能性がある。そのうち、比亜迪が開発したK9シリーズ(計2車種)のEVバスも、試運転に加わっている。
比亜迪の他に、ロンドンの黒塗りタクシーの製造メーカーであるロンドンタクシー・カンパニー(中国浙江吉利控股集団が買収)も、新型EVの開発を加速している。同社役員のポール・ウーリー氏は本紙記者に対して、「吉利集団は今後5年間で2億ポンドを投じ、基準に合うゼロ排出の航続距離延長式電気自動車(EREV)を開発し、2018年の生産を目指す」と話した。
ロンドン交通局地上交通局のリヨン・ダニエル氏は本紙記者に対して、「ロンドンのタクシー・路線バス市場は開放的かつ大規模だ。中国などの製造メーカー・企業が進出し、共に発展することを歓迎する」と述べた。
在英国中国大使館の経済商業参事官室の周小明参事官は記者に対して、「中英は昨年、各分野での提携で重大な進展を実現した。これには深い意義と影響があり、特に新しい提携分野が開拓された。中英は新エネ・インフラ・不動産開発などの分野で、将来的に新たな進展を実現することが期待されている」と語った。