2014年03月24日-03月28日
トップ  > 科学技術ニュース>  2014年03月24日-03月28日 >  新型空気清浄機、PM2.5やホルムアルデヒドの除去が可能に

新型空気清浄機、PM2.5やホルムアルデヒドの除去が可能に

2014年03月27日

 中国科学技術大学が20日に明らかにしたところによると、同校のシンクロトロン放射実験室先進機能材料研究室の高シン教授(シンは深のさんずいを王に)が率いる研究チームは、次世代空気清浄機を開発し、複数の国家発明特許を取得した。この清浄機はPM2.5を除去できるほか、ホルムアルデヒドやトルエンに対しても強力な除去能力を持つ。中国新聞網が伝えた。
 2013年末に煙霧が中国各地を覆い、人々に限りない苦しみをもたらした。同研究室の高教授は、「当研究チームは光触媒材料を10年以上研究し、さらに数カ月の取り組みにより、光触媒材料を使い新たな空気清浄機を開発した」と語った。
 光触媒材料は、光を浴びると電子正孔対を生成し、表面に酸化還元反応を起こす半導体材料のことだ。光触媒材料の利用方法と潜在的な利用方法には、自動クリーニング・コーティング、大気・水汚染の改善、太陽エネルギー水分解水素製造などが含まれる。しかしこれらの利用方法の実現は、光触媒の効率に対して高い要求を突きつける。市場で成熟しており、すでにハイエンド空気清浄機に採用されている光触媒材料は二酸化チタンだ。しかし二酸化チタンは紫外光しか吸収・利用できず、空気清浄の効率が制限を受けている。
 高教授の研究チームが開発した光触媒材料は、広いバンド幅に反応でき、緑光から紫外光まで十分に吸収・利用でき、汚染物質の分解効率が高い。研究チームが開発したサンプル機は、同じ紫外光の照射条件の中、PM2.5を除去したばかりか、室内の装飾材料が発するホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有害気体に対しても除去能力を発揮した。実験室の初歩的な測定結果は、市場で販売されている製品を2−3倍上回るものとなった。
 高教授は、「しかし実用化に向けては、さらに工学的な研究を終わらせる必要があり、困難が予想される。材料ゲノムという方法のメリットは、新型材料の大量合成・表徴を同時に実現する点だ。当研究チームは光触媒材料の合成の中で、数百種類の材料のプランを出した。短期間内に最良のプランを見つけ出せたのは、材料ゲノムという方法によるものだ」と説明した。
 高教授によると、材料ゲノムはビッグデータと結び付けることで、同時に数万種類の新材料に対して予測・選別・合成・表徴を実現できる。かつてエジソンが長時間を掛けて電球のフィラメントに適した材料を見つけ、科学者が何万回もの試験により使用に適した農薬を見つけたことと比べると、材料ゲノムという方法はまさに「神器」と言える。
 高教授の研究チームはすでにサンプル機を製造し、複数の国家発明特許を取得した。同チームは現在、一般家庭向けの製品の開発に取り組んでいる。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます