2014年03月24日-03月28日
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中国産スマートウォッチが発表、バス・地下鉄の乗車がスムーズに

2014年03月28日

 中国産ウェアラブルデバイス用プラットフォームを搭載したスマートウォッチが、27日に北京で発表された。腕時計をかざすだけで地下鉄や路線バスに乗車でき、高齢者の心拍数をチェックし、頻繁に充電する必要もない。この夢のような構想は、すでに人々の日常生活に足を踏み入れている。北京日報が伝えた。
 ◆6月にも腕時計で路線バス乗車が可能に
 腕を自動改札口にかざすだけで、地下鉄の構内に入ることができるようになれば、路線バスや地下鉄に乗車する前に、慌ただしくバッグの中から交通ICカードを探す必要がなくなる。このサービスは、今年6月より北京で実現される見通しだ。中国産ウェアラブルデバイス用プラットフォームを搭載したスマートウォッチ「Tick」が、27日に北京で登場した。同製品の研究者、北京元心科技公司の史文勇董事長(会長)は、「当社は北京市交通ICカードのサプライヤーである北京握奇データシステム有限公司と提携し、小型版交通カードをTickに内蔵し、腕時計による地下鉄・路線バス乗車を実現した」と説明した。
 中国産プラットフォームを搭載したスマートウォッチのシステムは拡張性が高く、幅広い応用範囲を持つ。同製品は今後さらにNFC(近距離無線通信技術)による決済、スマートセンサなどの機能を搭載し、POS端末の利用、会社のドアロックの解除を実現し、さらには高齢者の心拍数をリアルタイムでチェックする機能の搭載も予定している。
 北京市中関村の電子機器売り場で、ある電子機器マニアが輸入されたばかりのスマートウォッチを試していた。ところが、腕を上げてから、もう片方の手でキーを解除しなければ、スマートウォッチのディスプレイが動き出さない。「この腕時計はスマートというべきか、頭が悪いというべきか」――。利用者がスマートな体験を楽しめないため、昨年より国内外で流行しているスマートウォッチは、無用の長物になっている。Tickなら、この電子機器マニアの懸念を解消できる。スマートセンサ技術により、同製品は「腕を上げる」という動作を認識できるため、利用者が腕を上げた瞬間に、腕時計のディスプレイが自動的に動き出すのだ。
 このほか、携帯電話が見つからない、携帯電話を紛失したという問題も、携帯電話を手放せない現代人にとって悩みの種だ。Tickの「人とデバイスの分離」という機能を使用すれば、携帯電話が利用者から10メートル離れると、スマートウォッチが自動的に報告し、携帯電話を探す手間が省ける。
 ◆国産プラットフォーム、情報安全を保障
 世界IT大手のグーグルは3月19日、ウェアラブルデバイス向けプラットフォーム「Andriod Wear」を発表した。そのわずか一週間後にTickと同時に、その中核システムとなる国産ウェアラブルデバイス用プラットフォームも発表された。同プラットフォームの開発企業である北京元心科技公司によると、同社の100人弱の開発チームが2年弱の取り組みにより開発したウェアラブルデバイス用国産プラットフォームは、市場の大多数のウェアラブルデバイスが搭載しているAndriod(もしくはその改良版)と異なっている。同社のシステムは世界主流技術を採用し開発の道を切り開き、Linuxをベースに構築している。特にシステムの中核的な枠組み、情報安全の能動的保護の面で多くの自主革新を行い、独自の知的財産権を持つウェアラブルデバイス用プラットフォームとなっている。
 モバイルネットワークライフをより安全に楽しむことができるこのプラットフォームは、市民に大きな利益をもたらす。
 昨日開かれた発表会で、中国工程院院士の倪光南氏は、「十数億人の中国人がスマートウォッチやスマートグラスを利用するようになった時、そのシステムのすべてが海外メーカーから提供されるとなると、これほど多くの人口の日程、アドレス帳、身分などの情報がすべて把握され、危険ではなかろうか。中国ではスマート端末の利用者が少なくとも10億人は存在し、ウェアラブルデバイスが普及すればこの数値は数十億に激増するだろう」と指摘した。
 史董事長は、「国産プラットフォームはスマートウォッチの性能を改良し、バッテリーをより効果的に利用できる。市場で流通しているほとんどのスマートウォッチの場合、そのバッテリーは正常使用でおよそ1日半しか持たない。ところがTickは正常使用で、充電なしで約4日間使用できる。プラットフォームは今後さらにウェアラブルデバイス用アプリ開発キットを発表し、アプリ開発のハードルを下げ、多くのアプリ開発者を引きつけ、中国がウェアラブルデバイスのシステムを独自に開発する環境を形成する」と語った。

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