2015年02月09日-02月13日
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上海ディズニーランド、余熱で発電

2015年02月11日

 中国本土で初のディズニーランド、2016年上半期にオープンを予定している上海ディズニーランドは、他とは異なる特徴を形成しようとしている。例えば白雪姫城の暖炉やジェットコースターに必要な圧縮空気、ミッキーの部屋の夏の冷房など、童話のシーンやアトラクションに使用されるエネルギーを完全に電力に依存するのではなく、各種エネルギーを総合利用するセパレート型エネルギー技術を採用している。上海ディズニーランドは世界の6園のうち、初めてこの技術を採用した。
 上海ディズニーランドにエネルギーを提供するのは、テーマパークと大通りを一本挟んだ所にある天然ガス「コージェネレーション」エネルギーステーションだ。エネルギーステーションには蒸気・冷気・熱水・電力の4つのパイプが敷設され、発電所の一部の余熱で蒸気を作り、圧縮空気が必要なアトラクションに用いる。さらに別の余熱を使い水を加熱し、厨房やホテルに給湯する。臭素酸イオン技術を採用したセントラル空調は、余熱を使い化学反応を起こすことで冷房を実現する。
 伝統的な方法であれば、この4種のエネルギーは異なるエネルギー供給ステーションを必要としていた。しかしセパレート型エネルギー技術は天然ガスを燃焼することで、その高温エネルギーを電力に、中温エネルギーを冷房や熱水に、その他の余熱を圧縮空気に変えることができる。異なるパイプを使い、近くの利用者に供給する。
 石炭と比べ、天然ガスはクリーンで効果的なエネルギーとされる。燃焼によって生じる二酸化炭素は石炭の半分で、微粒子状の汚染物質の排出量は石炭の10%未満だ。しかも天然ガスの45%のエネルギーは、電力に転化することができる。しかし現在、天然ガスの幅広い普及を妨げている重要な原因は、その価格だ。上海ディズニーランドのこのエネルギーの段階利用法は、天然ガスの調達コストを相殺する。ディズニーランド側から提供されたデータによると、園内のエネルギー利用率は80%以上に達し、伝統的な手段の約2倍となる。また同ステーションは毎年2万トンの標準石炭を節約でき、二酸化炭素の排出量を約7万5000トン削減できる。

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