このほど天津市で行われたシンポジウムで発表された情報によると、中国産スパコン「天河1号」は現在、街道(都市部における最小の行政単位)事務所の管轄範囲に相当する小規模エリアの今後5日間の煙霧データの予報にも活用されており、的中率は70%に達する。携帯電話を使うだけで、明日の団地内のPM2.5の濃度を知ることができる同技術は、すでに河北省廊坊市と保定市で活用されている。科技日報が伝えた。
中国気象科学研究院の龔山陵研究員は、中国での煙霧予報は困難だとした上で、「カナダ最大の都市のトロントでは、PM2.5の濃度は通常1立方メートルあたり8µgのみだ。カナダの予報には北米全体が含まれ、分解能は15キロメートルで、それ以上詳細にする必要はない。同じ都市内の地域の濃度に大きな差がないからだ。しかし中国の都市では、地域によって大きな差が生じる。ゆえに技術者は同じ都市内の分解能を2−3キロメートルに引き上げなければならない。これによって、コンピュータの負担が大幅に増す」と説明した。
メディアの報道によると、天河1号が使用するデータは、気象・環境保護部門および清華大学などの科学研究機関の協力によって得られた気象衛星データと汚染源データで、他にもこれまで得られている地理情報や地上の建築物の情報などが含まれる。
龔研究員は、「煙霧の予報は、天気予報+化学だ。天気予報は気温・湿度・風力・気圧の4つのみに注目するが、煙霧は70項目と関連する。PM2.5にはさまざまな化合物が含まれ、微粒子の大きさも異なるからだ。ゆえに煙霧予報の計算量は、天気予報の5倍に達する」と話した。
困難な任務ではあるが、予報に使用されるコンピュータは計算速度を落とすことができない。速度が落ちれば、適時性が低下するからだ。龔研究員は、「2010年の世界スパコン王者の天河1号ならば問題ない。現在ネット上で、廊坊市と保定市の各団地の今後5日間の煙霧予報を見ることができ、的中率は70%に達する」と述べた。