オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」にこのほど掲載された研究報告から、電気自動車とガソリン車がそれぞれ1キロメートルの距離を走行した時、電気自動車による大気中への排熱量は、ガソリン車の20%以下であることが明らかになった。湖南大学の黎燦兵教授と曹一家教授をリーダーとする研究チームは、「電気自動車が従来のガソリン車に取って代われば、都市の温度を下げることができる可能性が高い」との見方を示している。中国科学報が伝えた。
同じ気候条件のもとで都市と農村の気温を比べた場合、都市の方が高い。これが「都市のヒートアイランド現象」と呼ばれる現象だ。統計データによると、ある地域の緑化率が30%を上回ると、その緑地がヒートアイランド現象を緩和する作用が認められる。緑化率が50%を超えると、その効果は鮮明だ。とはいえ、面積が極めて大きい都市にとっては、緑化という「エアコン」で都市の気温を下げることは、困難極まりない。
黎教授率いる研究チームは、別の角度からも、都市の気温を下げる方法についてアプローチを試みた。同教授は以下の通り指摘した。
我々は、ガソリン車の排熱量は、都市の総排熱量のほぼ半分を占めていることを発見した。その後、電気自動車とガソリン車の比較によって、電気自動車が走行時に排出する熱量は、ガソリン車よりかなり少ないことも分かった。同じ1キロという距離を走った場合、電気自動車による大気中への排熱量は、ガソリン車の20%にも届かなかった。したがって、電気自動車は、大都市における夏のヒートアイランド現象を緩和するのに大いに役に立つ。
我々の推算によると、電気自動車が従来のガソリン車に取って代わった場合、都市の温度は約1℃下がる見込みがある。その上、電気自動車がガソリン車に取って代わったことによって減少した排熱量は、エアコン使用時に消費するエネルギー量も抑えることができる。
電気自動車がどの程度ガソリン車に取って代わることができるかという問題の鍵は、「電池」にある。電池技術におけるブレイクスルーが実現すれば、電気自動車の普及は一気に加速するだろう。