中国山東省では胃がんが少ないが、その理由は食卓にあった。 山東省の家庭の食卓には、必ずと言っていいほどニンニクとネギが並ぶ。この2種類の野菜は、現地で生産されたものがほとんどで、山東省の胃がん発生率を引き下げている野菜でもある。
ニンニクエキスは、発がん物質である亜硝酸塩を減少させることができ、ネギはプロピレンスルフィドを含み、胃腸の細菌が硝酸塩を発がん物質であるニトロソアミンに変えるのを抑制してくれる。
山東省の多くの家庭にはニンニクすりおろし器があり、すったニンニクを生野菜に混ぜて食べる。同省では、ニンニクに火を通して食べる人は少ない。
福建省腫瘍病院が以前に実施した、胃がんと各地域の食習慣や栄養との関係に関する調査によると、山東省は胃がんが少ない地域で、ニンニクを良く食べることが胃がんの発生率を引き下げていることが分かった。
ニンニクのうち、高い殺菌力を持つのがアリシンで、ニンニク特有のからみや刺激臭の源でもある。しかし、アリシンは過熱されると、その作用を失ってしまうため、ニンニクは生で食べるのが良いのだ。一番良いのは、ニンニクを切って15分ほど置くか、すりおろして、酸素と結合させ、アリシンを発生させてから食べるのが良い。
山東省の人は、ネギも主に生で食べる。その食べ方は、切ってタレをつけたり、他の野菜と混ぜたりとさまざまだ。
現代医学では、ネギには、臭いの強い揮発油や硫化アリルが含まれ、強い殺菌力があることが分かっている。また、消化液の分泌を刺激し、食欲が促進されるほか、体質改善や免疫力向上も期待でき、発がんのリスクを下げてくれる。
胃がんとの関係については、主に、ネギは、有機硫化物と呼ばれるプロピレンスルフィドを豊富に含み、体内の発がん性物質を取り除いてくれる酵素を活性化し、がんを予防してくれる。また、ネギの葉に含まれる多糖類にも、がん細胞の成長を抑制する作用がある。
そのため、胃がんの予防のため、山東省の人々のように、ネギやニンニクを適度に食べると良い。また、硝酸塩を発がん性物質であるニトロサミンに変化させ、胃がんの原因となるため、漬物や塩乾魚、ベーコンなどはなるべく控えたほうがいい。