北京大学の李本綱氏が率いる研究チームはこのほど、中国の世界気候変動に対する寄与、その時間的な変化の傾向を初めて全面的に評価した。現時点で知られている10種の気候変動要因のシミュレーション解析(1750−2010年まで)を行ったところ、中国の排出の世界放射強制力に対する寄与度は10%±4%で、近年の中国の人為的な活動による排出が世界全体に占める比率を大幅に下回った。関連成果はこのほど、ネイチャー誌に掲載された。中国科学報が伝えた。
世界の気候変動要因には、主に長生命周期の温室効果ガス、短生命周期の大気成分、土地利用の変化が含まれる。
研究チームは世界的に承認されている世界排出データ、排出過程模型、寄与の区分技術・方法を利用し、中国の排出を研究対象とした。その結果、中国の排出の「正の放射強制力(温室効果)」に対する寄与度は12%±2%(主にCO2、CH4などの温室効果ガスと黒炭)、「負の放射強制力(冷却効果)」に対する寄与度は15%±6%(主にSO4、NOx、POMなどのエアロゾル)だった。うち化石燃料の燃焼によって排出されるCO2、CH4、硫酸塩、カーボンブラックの寄与が最大だった。
研究結果によると、中国が実施中の大気品質改善措置により、大気中へのエアロゾルの排出が減少する。そのため負の放射強制力が弱まり、中国の世界気候変動への寄与度が高まる可能性があるという。