2017年04月17日-04月21日
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無人補給船「天舟1号」、6トンの貨物を宇宙に届ける

2017年04月20日

 中国初の無人補給船「天舟1号」は、今月20日から24日の間に日を選んで打ち上げられる予定となっている。その初飛行で中国有人宇宙事業宇宙実験室飛行任務における最終戦の序幕が開かれることになる。人民日報が伝えた。
 天舟1号は中国が自主開発した初の補給船で、貨物モジュールと推進モジュールからなる。全長は10.6メートル、船体の最大直径は3.35メートル、ソーラーパネルを開いた後の最大幅は14.9メートル。離陸重量は約13トン、物資輸送能力は6トン、推進剤補給能力は約2トン。3ヶ月間の自力飛行が可能で、宇宙実験室「天宮2号」とドッキングし、軌道上で推進剤を補給し、宇宙科学実験と技術試験などを展開する。
 積載量13.5トンの新しい中型ロケット「長征7号」が、天舟1号の打ち上げを行う。天舟1号は重さ6トンの貨物を、中国の未来の宇宙ステーションに送り届けることができる。そのペイロードが占める比率は、現在のすべての補給船のうち最高となっている。中国有人宇宙事業弁公室長の王兆耀氏は「天舟1号は宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士に食べ物や使用する物品といった消耗品、推進剤、点検用の設備と器材、試験用の装置などを届け、さらに宇宙ステーションの一部廃棄物を破棄する」と説明した。
 その一方で、天舟1号は宇宙実験室「天宮1号」や「天宮2号」、有人宇宙船「神舟」が蓄積した技術を十分に継承している。プログレスや欧州補給機(ATV)と同じく、天舟1号も宇宙ステーションに推進剤を補給する能力を持ち、さらに天宮2号とのドッキングによりこの重要技術を検証する。ドッキングした複合体は軌道上を約2ヶ月飛行し、天舟1号は約3ヶ月独立飛行する。既定任務完了後、天舟1号は制御を受け軌道を離れ、予定の安全な海域に墜落する。一方、天宮2号は軌道に留まり、引き続き試験と応用を実施する。
 将来的に中国の有人宇宙ステーションには、宇宙飛行士数人が軌道上に長期滞在することになる。乗組員を交代する期間中は、2隻の神舟宇宙船と多くの宇宙飛行士が短期的に、軌道上に同時滞在することになる。補給船の支持がなければ、長期的に軌道上に滞在することはできない。これが天舟を開発した根本的な原因だ。次に、宇宙ステーションは宇宙でも、極小の空気抵抗の影響を受ける。軌道高度は時間の経過に伴い、緩慢に低下する。軌道高度を維持するためには、燃料を消耗することで上昇に必要な推力を生む必要がある。宇宙ステーションのコアモジュールが、打ち上げの際に搭載できる推進剤は限定的であり、補給船により軌道上で推進剤を補給し、燃料を補充しなければならない。推進剤を軌道上で補給する技術を持っているのは、現時点では米ロ両国のみだ。天舟1号のもう一つの重要な使命は、同技術の検証だ。これは中国の未来の宇宙ステーションが順調に発展していくことができるのかを決める重要技術の一つでもある。
 また天舟は中国の宇宙ステーションの補給船であるほか、長時間自主的に飛行する能力を持つことから、宇宙科学実験の場とすることも可能だ。

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