国家海洋局が上海市で開いた第8回北極科学観測記者会見で発表された情報によると、中国は今年より全面的に北極科学観測の頻度を上げ取り組みを強化する。中国第8回北極科学観測隊が10日、極地観測船「雪竜号」とともに上海に凱旋した。中国の北極科学観測の頻度は、従来の2年に1回から毎年1回に上がった。新華社が伝えた。
中国は北極圏の国ではないが、なぜ北極科学観測の取り組みを強化するのだろうか。国家海洋局党組メンバー、副局長の林山青氏は、「これは中国が近北極圏国であり、北極の急激な変化が中国の気象と気候に直接的な影響を及ぼし、中国の生態環境システム及び社会・経済の発展に大きな影響を及ぼすからだ。また中国の北極に対する認識は、まだまだ十分ではない」と指摘した。
特に北極の海氷溶解により、北極航路が開通しつつある。中国は世界貿易システムにおける最も重要な国の一つであり、海外貿易の商品の9割以上が海運によって賄われている。北極航路は北東アジア・欧州・北米という3大経済圏を最短距離で結ぶ海上航路だ。そのため北極航路の開発利用は、中国にとってその意義は重大だ。この点から見ても、中国は北極への認識を促進する必要がある。
林氏は、「北極は世界的な気候変動に最も敏感な地域だ。北極海の海洋溶解のペースは、すでに科学者の予想を大幅に上回っているが、人類の北極への認識はまだまだ不十分だ」と述べた。
林氏は、「中国の北極科学観測は今後、さらに新たな事業分野を切り拓くと同時に、国際協力を強化することになる。北極の海洋溶解、生物多様性、海洋マイクロプラスチック、海洋ゴミ、海水酸化など、国際社会が共に関心を寄せる話題を重視し、人類がより深く全面的に北極を理解するため、中国が貢献していく」と話した。