世界トップの学術誌「セル」は25日に、オンラインで中国人科学者が世界初の体細胞クローンサルの育成に成功したという成果を発表した。
中国科学院神経科学研究所、脳科学・知能技術イノベーションセンターの非人類霊長類プラットフォームにはすでに体細胞クローンサルが2匹いる。2017年11月27日生まれの「中中」と2017年12月5日生まれの「華華」だ。
実は、科学者たちは2000年に霊長類動物のクローンに成功している。その当時、米国オレゴンエリア霊長類動物研究センターの科学者は107個のサル胚胎を368個に分裂させ、「Tetra」と名付けられたクローンサルは胚胎分裂後の第157日に誕生した。
しかし、中国科学院神経科学研究所の孫強研究員が率いるチームは今回、体細胞のクローンという世界的な難題をクリアした。こうしたクローン方法はクローン羊「ドリー」のクローン方法と類似している。
孫強氏によると、ドリー誕生後、馬や牛、ウサギ、猫、犬、ラクダといった哺乳動物の体細胞のクローンが相次いで成功したが、人類と近い霊長類動物の体細胞クローンは長い間実現することができなかった。体細胞クローンサルの重要性は1年間のうちに遺伝背景が同じで、人類の病気をシュミレーションすることができるモデルタイプのサルを大量に育成できることにある。
孫強氏は体細胞を利用して体外で効率的にゲノム編集を行い、正確にゲノム型が同じ体細胞を選び、再度核移植方法を使ってゲノム型が同じ大量の胚胎を育成し、雌サルを妊娠させ、ゲノム編集と遺伝背景が同じサルたちを誕生させるという仕組みについて解説した。こうして誕生したクローンサルが、脳疾患のメカニズム研究や介入、治療などの将来に明るい見通しを与えると見られている。特にアルツハイマーや自閉症といった脳疾患、免疫欠陥、腫瘍、代謝に関わる疾病の薬品開発研究を促進する役割を果たすことが期待されている。
中国科学院白春礼院長はインタービューに対し、今回の実験成功はこの分野において、世界の先頭に立つという目標を実現し、また中国が率先して体細胞クローンを実験動物モデルとする時代が始まったことを示しているとした。