アメリカ国立科学財団(NSF)は最新の「科学工学指標(Science & Engineering Indicators)」2018年版で、米国の科学技術力は資金・論文・人材などの多方面から見ても依然として世界トップであるが、中国の科学技術力が急成長していると指摘した。新華社が伝えた。
まず、科学技術の革新には資金が必要となる。この報告書のデータによると、中国の研究開発費は2000−15年の間に年平均18%以上も増加した。同期の米国の増加率は4%のみ。発展途上国は研究開発費が小規模だが、伸び率が高い。しかし中国の傾向は、その他の発展途上国とは異なるとしている。
1.ベンチャーキャピタルは科学技術資金の重要な資金源
報告書によると、2016年の世界の新興技術産業化を支援するベンチャーキャピタルは総額1300億ドル以上に達し、うち米国が過半数の約700億ドルを占めた。他にも26%の資本が中国に流れた。中国が2013−16年に導入したベンチャーキャピタルは、約30億ドルから340億ドルに激増し、伸び率で世界トップになった。
2.科学研究成果を示す論文や特許
同報告書によると、中国の科学・工学論文数は2003年より急増している。同報告書の統計によると、中国は2016年に発表した論文数で米国を抜き、世界一になった。
高被引用論文の数を見ると、米国や一部の欧州諸国が依然として先頭を走っているが、中国の論文の世界での被引用回数も増加しており、その数も、世界の上位に入っている。
研究分野を見ると、米国とEU、日本の論文の重点となっているのは生物医学で、中国とインドは工学となっている。
同報告書はさらに、アメリカ特許商標庁による特許件数を分析している。その結果、米国と日本、EUによる特許が主流となっており、中国の特許件数はまだ少ないが増加傾向にあることが分かった。分野別に見ると、米国とEUは化学・健康分野が多く、日本は半導体や光学などに集中している。中国と韓国は情報・通信技術分野に意欲的となっている。
3.高等教育が科学技術革新に人材を提供
同報告書によると、米国は科学と工学博士課程修了者が最も多い国で、中国、ロシア、ドイツ、英国、インドが続いた。
ただし科学と工学専攻の大卒者を見ると、米国が遅れをとっていることがみてとれる。2014年の世界の理工系大卒者数は750万人以上で、その内訳はインドが25%、中国が22%を占め、米国は10%のみ。同報告書によると、中国の理系大卒者数は2000−14年の間に急増した。
同報告書は「世界の科学技術発展は活力が満ち溢れている。各国は科学・工学関連分野で独自の強みを持ち、相互依存しつつ、共に世界経済の発展を促している」と指摘した。