世界初の体細胞クローン猿に続き、中国が大動物モデルの研究分野で新たな重要成果を生み出した。それは世界初の神経疾患遺伝子ノックイン豚の誕生だ。中国青年報が伝えた。
中国科学院広州生物医薬・健康研究院が発表した情報によると、中国人科学者が中心となる国際研究チームは4年間の取り組みを経て、ゲノム編集技術と体細胞核移植技術により、世界初のハンチントン病遺伝子ノックイン豚の育成に成功し、人類の神経変性疾患を正確に模倣した。
ハンチントン病やアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などは、現代社会の人類の健康を脅かす神経変性疾患だ。これらの疾患は年を重ねるごとに生まれ、遺伝性を持ち、徐々に深刻になる。適切な動物モデルがなくスクリーニングを行えないことから、現時点では効果的な治療方法が存在しない。
今回の実験結果によると、この豚を使うことでハンチントン病患者の線条体の神経単位選択的死の典型的な特徴を模倣することで、ハンチントン病の「舞踏」のような異常行為を示すことができた。さらにこれらの病理・行為学的表現型を、安定的に次の世代に伝えることができる。
同チームによると、神経疾患遺伝子ノックイン豚の成功は、中国が大動物疾患模型の医薬品研究開発産業チェーンの発展を促すことになる。またアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患、免疫疾患、腫瘍、代謝性疾患などの新薬の研究開発を促すという。さらに同動物模型は幹細胞治療などの臨床前評価に用いることができ、最終的に人類の疾患の治療に役立たせることができるとみられている。