2018年07月23日-07月31日
トップ  > 科学技術ニュース>  2018年07月23日-07月31日 >  一般人の生活への浸透を目指す無人物流

一般人の生活への浸透を目指す無人物流

2018年07月25日

 B2C(企業・一般消費者間取引)ショッピングサイトの京東商城はこのほど、世界初の全自動配送+セルフピックアップステーションである、無人配送ステーションの研究開発に成功したと宣言した。蘇寧物流は、2020年までに末端配送の自動運転技術の普及と、無人配送車の規模化を実現するとした。物流企業の菜鳥網絡は、無人倉庫、自動運転車、ドローン技術はすでに成熟しており、狭い範囲における全過程の無人配送技術のテストに成功していると発表した。AI技術が活躍する「無人時代」が、物流・宅配業界で先に実現されたようだ。科技日報が伝えた。
 北京市黄渠村で、無人の黄色い車が団地の入口に停まり、警備員に「こんにちは、門を開けてください」と声をかけた。アップグレード版蘇寧自動運転車「臥竜1号」が今年6月より、北京蘇寧小店黄渠店で通常運転を開始した。これは、国内で初めて実際のシーンにおける通常運転を実現した無人宅配車だ。自動運転車、ドローン、スマートキャビネットなどの無人物流で、「最後の1キロから0メートル」の問題を全面的に解消する。菜鳥、蘇寧、京東などが、無人物流の機先を制するのを狙っている。
 関連報告書によると、今年の国内スマート物流市場規模は1000億元(1元は約16.3円)を突破し、今後数年間の平均成長率は20%にのぼる。
 菜鳥、蘇寧、京東などの国内物流企業は無人物流分野の事業を展開し、さらに多くの技術開発に取り組んでいる。菜鳥アルゴリズム専門家の朱礼君氏は記者に、「AIは作り出すものだ」と話し、菜鳥の無人物流には主に2つの内容が含まれると話した。まずは物流要素のデジタル化で、物流要素を連結させる。次に自動化設備を使った運搬などの作業だ。
 朱氏は、「ビッグデータ、クラウドコンピューティング、IoTなどの技術を応用し、物流要素をデジタル化する。例えば、無人物流システム内では、ある小包の体積、中身、目的地を知る必要がある。これらの情報要素はデジタル化して初めて読み取られ、車両の情報との最良のマッチングが実現される」と説明した。
 「当社はさらに、視覚技術により商品の体積を判断し、スマートセンサーでデータを読み取る。無人倉庫では、多くの自動化ロボットアームが商品の分別と梱包を実現する。AGV小型車と無人フォークリフトが運搬を行い、センサーを使い小包の目的地を判断し、自動化ラインで小包を自動運転車に送り届ける」。
 全無人配送は一般人の生活にいつ浸透するのだろうか。京東X事業部ドローン産業センター総経理の劉艶光氏はこのことについて楽観視しており、「当社のAIデバイスはすでに全面的に通常運転を開始し、スマート物流システムの各サイクルに進出している。昨年より当社のドローンは、江蘇省、青海省、海南省などで物流配送の通常活動を展開している。当社は既存の物流配送ステーションにドローンポートを作り、周辺の村に空中投下エリアを作り、注文された商品の配送を行っている。100件弱の注文において、ドローンによるさらに効率的で便利な通販体験が提供された」と述べた。
 「しかし、無人物流の大規模応用には、なおも政策のボトルネックが存在する。例えば、自動運転車の路上運転、ドローンの実用化には、正式な法制度が備わっていない。技術更新及び関連法制度の整備に伴い、大規模な無人配送がすぐに実現されるはずだ」。
 また、ドローンは自動運転車による物流の安全リスクを懸念する人がいる。例えば、ドローンで配送中に鳥に衝突したり、飛行中に荷物と同時に意図的に撃墜されたりした場合はどうするのだろうか。蘇寧物流によると、新たに開発した「行竜1号」は走行中にルートを自動計画し、障害物を回避できる。道路に歩行者が突如現れたとしても、直ちに早期警戒し停車できるという。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます