中国人科学者が主導する最大の国際農業科学技術貧困者支援プロジェクト「アフリカ及びアジアの資源不足地域向けのグリーン・スーパー稲の栽培」が2日、北京市で締めくくられた。プロジェクト実施から11年にわたり、一連の高生産量で干ばつ・塩分・水没に強く栄養素が豊富なグリーン・スーパー稲の新品種を効率的に栽培した。アジア・アフリカ18カ国で78の新品種を広め、面積にして612万ヘクタールに達した。農家160万世帯の収入が大幅に増加した。また稲科学研究の先端を代表する「3000点稲ゲノム計画」を達成し、2018年5月にネイチャーに長編記事を掲載した。稲が通常育種から分子設計育種に向かう技術革命を促した。科技日報が伝えた。
プロジェクト首席科学者、中国農業科学院作物科学研究所研究員の黎志康氏によると、同プロジェクトは中国人科学者が中心となり、中国内外の58の稲研究機関と協力し、2008年に始まった。対象には、「一帯一路」(the Belt and Road)沿線のアジア・アフリカ18カ国と、中国の稲の生産量が少なめの西部5省が含まれた。
黎氏によると、グリーン・スーパー稲(CSR)は少ない投資で安定的に多い量を生産できる稲の品種と定義づけられる。すなわち農薬と化学肥料を余り与える必要がなく、水を節約でき干ばつに強く、高品質かつ高生産量の品種ということになる。黎氏によると、稲の持続可能な生産は多くのアジア・アフリカ諸国の食糧安全及び貧困者削減にとって重要だ。特に近年、世界では異常気象が多発しており、アジア・アフリカの自然な降雨に頼る地域の稲の生産能力が極めて脆弱だ。アジア・アフリカのこれらの地域における稲の生産能力を大幅に高め、世界の灌漑水田の生産力を維持することは、今後数十年にわたり世界の稲育種専門家が直面する最大の課題だ。
プロジェクト実施から11年で、18カ国の26の研究機関に向け異なるグリーン性状・成分を持つGSR品種もしくは育種材料を5235点提供し、試験的に栽培した。これには、中国の十数の農業科学研究機関と海外種子業界企業の169点の通常稲品種及び431点のハイブリッド稲品種が含まれる。18カ国の各地での長年にわたる試験栽培を通じ、対象国の異なる稲生態環境に適した一連の稲優良品種を鑑定した。高生産量かつ高品質で耐性の高いGSR新品種を生み出し、18カ国で試験的に栽培し、審査と普及に取り組んだ。世界最大の植物ゲノムリシーケンスプロジェクト、3000点の稲コアコレクションの全ゲノムシーケンスを行った。全ゲノム水準で稲コアコレクションのゲノム多様性を解析し、稲機能的ゲノム研究成果の育種における応用を力強く推進した。