2019年07月08日-07月12日
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中国の高速鉄道は放射線の影響が深刻?専門家「まったくのでたらめ」

2019年07月12日

 ネット上でこのところまた中国の高速鉄道の放射線に関する文章が投稿されている。「高速鉄道は確かに放射線の影響が深刻、未婚女性は乗車を控えるべき」というタイトルだ。しかし中国中車集団の専門家である蒋莉氏は取材に対し、「実は2013年と2014年に、すでにネット上に『注意!高速鉄道が人体に危害、未成年者は乗車を控えるべき』という文章がアップされていた。内容を見ると、タイトルが多少変わっている以外、内容はほぼ同じだ」と語った。科技日報が伝えた。

 2017年、「都市鉄道交通研究」雑誌編集長で同済大学教授の孫章氏はこのデマに反論していた。孫氏は、「中国の高速鉄道で運行している列車で使用されている電力は一般的に25000V、50Hzの交流電流だ。それと対応して、高速鉄道の高圧電力設備はこの周波数帯の電界と磁界を放射しており、『極低周波数の電磁放射』に属し、X線の電離放射線とはまったく異なる。したがって、ネットで拡散している文章の中の『高速鉄道に乗車=X線を浴びる』という記述はまったくのミスリードである」としている。

 電気のある場所には放射線があり、一般の列車や地下鉄にも、携帯電話やシェーバーにも、太陽光にも放射線がある。放射線が安全な値以下であれば、人に対する影響は生じない。では、安全な値とはどのくらいなのか?

 国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、高速鉄道で発生する放射線について磁界の安全基準は100μT(マイクロテスラ、磁界の強さを表す単位)以下、電界の安全基準は5kV/m以下と定めている。

 北京鉄路局の専門家が高速鉄道車両内の電磁放射線量を測定し、データを公開した。それによると、異なる車種の一等車両、二等車両、車両連結部、運転席などの位置で、電磁放射線の値は11--21V/mの範囲内におさまっていた。

 データを比較すれば、中国の高速鉄道の電磁放射線量が国際基準よりもはるかに少なく、人体にダメージを与える可能性がまったくないことが容易に分かるだろう。

 中国の高速鉄道の電磁放射線量が国際基準よりはるかに少ないということは、中国の高速鉄道では放射線対策の面でどのような措置を講じているのだろうか? 蒋氏は、「高速鉄道車両内部の電磁放射線は主に車両底部のけん引モーターから放射されている。実のところ、電磁放射線を遮るのはそれほど難しいことではない。金属板1枚で効果が発揮できる」と明かした。蒋氏によると、国産高速鉄道車両の金属枠は電磁放射線に対し一定のシールド効果があり、車両座席下にある厚い金属板も、けん引モーターからの電磁放射線を効果的に遮ることができるという。

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