人々はかすり傷であれば簡単で便利な絆創膏で止血することに慣れている。ところが動静脈が破裂し噴射状の出血があった、もしくは手足の切断といった重傷で急性大出血した場合に、いち早く自分でガーゼのように当て、止血し命を救うことのできる「スーパー絆創膏」は存在するだろうか。中国青年報が伝えた。
天津大学―欣楽加生物材料共同研究センターはこのほど、「生物高分子救急止血新材料」を発表した。大血管が破裂し出血した場合に使用すれば、1−3分で完全に止血できる。止血後も傷口から簡単に取り外すことができ、再出血の恐れがない。これは名実ともに「スーパー絆創膏」といえるものだ。この新材料は今年6月に行われた全国大衆による起業・イノベーションイベントウィークの期間中、新知識・新技術・新発明・新モデルに焦点を絞る新製品として発表された。
この材料は一般的なスポンジのように見え、厚さは数ミリしかなく、サイズが均一な多くの穴がある。天津大学化学工業学院で、この材料の研究開発と標準化研究を担当する李俊傑教授によると、このスポンジのような材料は軽く薄いが、血管の大出血が生じた場合に傷口に押しつけると、血液中の水分が新材料にスムーズに浸透する。血液中の血小板などの凝血作用を持つ成分が、傷ついた血管や「スポンジ」と接触する表面に凝縮され、スムーズな止血の目的を達成する。これはまさに「スーパー絆創膏」だ。
李教授によると、この高い止血の効果の「秘密」は、新材料の特殊な構造に隠されている。この新材料は生体親和性のキトサンとポリアクリル酸ソーダナトリウムを骨格とし、発泡技術によって作られる。この構造内のキトサンとポリアクリル酸ソーダナトリウムは高い親水性を持ち、良好な吸水性能を持っている。吸水率は自身の重さの200倍にも達する。水分子と分子ネットワークの間の高い作用力により、水分子はネットワークから出ることが難しい。これにより新材料は水を引き止める高い能力を持っている。また多くの穴を持つ構造によりサイフォン効果が生じ、吸水のペースを上げることができる。血液は速やかに材料に触れ、スムーズに血液を凝縮させる。さらに分子構造の正電荷作用が加わり、血小板を集めることで速やかに止血する。この止血新材料にはさらに、湿った物質に吸着する性質を持っているため、「スポンジ」はしっかりと傷口の出血箇所に粘りつくことができ、止血後も簡単に剥がすことができ、再出血を回避できる。