2019年07月29日-07月31日
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科学技術の後押しでウォーターキューブがアイスキューブに変身

2019年07月31日

 最後のプレキャストコンクリート板の設置が30日に完了したことで、北京2022年冬季五輪・パラリンピックの競技場である国家水泳センター(ウォーターキューブ、水立方)にカーリング競技場の機能を持たせる改築工事が無事に完了した。これはウォーターキューブの「変身」を意味している。中国新聞社が伝えた。

 ウォーターキューブは2008年北京五輪のシンボルとなった競技場で、水泳、飛び込み、シンクロナイズドスイミングなどの水上競技が行われた。改築後は北京冬季五輪期間中、カーリング・車椅子カーリングに用いられる。

 国家水泳センターの楊奇勇社長によると、ウォーターキューブは既存の水上機能を踏まえ氷上機能を追加した。競技場内に構造変更及び取り付け・取り外しが可能な製氷システムを構築することで、カーリングの4本の標準コースを作る。このシステムにより、ウォーターキューブは水上機能と氷上機能を同時に持つことができる。製氷設備と氷層を取り外すと、元のプールに戻る。ウォーターキューブは今後、春・夏・秋季は水上活動に、冬季は氷上活動に用いられる。

 改築中、取り外し可能な鉄骨構造が、水と氷を切り替える基礎になった。鉄骨構造はスムーズに設置・取り外しできるよう軽くするとともに、強度を保証しなければならない。鉄骨構造の上にはプレキャストコンクリート板があり、さらにその上には防水層と製氷パイプ層があり、パイプ層の上に氷を敷く。これにより冬季五輪のカーリングの条件が最も厳しい氷面を形成する。

 氷と水の切り替えは切り替えそのものの問題の他に、一部の環境の難問を解決しなければならない。ウォーターキューブの共同設計機関である清華大学、哈爾浜(ハルビン)工程大学などは前期段階の科学研究論証を行い、改築に関わる氷切り替え構造体系、競技場のスポーツ照明、競技場の総合的な省エネなど5つの具体的な課題を重点的に研究した。

 改築後のウォーターキューブは機能が増えるほか、スマートなアップグレードを実現する。新しいスマート建築管理システムは、競技場内の気温・湿度・照明・音声などの変化を効果的に制御・モニタリングし、冬季五輪のカーリングに完璧な環境を提供する。

 今回の改築により膜構造空洞の自然通風が追加された。天井のこれらの空洞を開くことで、夏場は自然な通風により気温を下げ、冬場はエネルギーを蓄積し競技場内の熱消費を減らし、より省エネ・エコになる。

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