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中国の科学者、「生きた化石」銀杏の遺伝子データバンクを構築

2019年10月08日

 浙江大学、中国科学院植物研究所と華大遺伝子研究院の研究者は、5年間の協力により銀杏の初のゲノム略図を作ったことに続き、世界の545本の銀杏のゲノムシーケンスを行い、これまでで最大の銀杏遺伝子データバンクを構築した。これは銀杏の進化の歴史、進化の潜在力の認識に対して重要な情報を提供した。関連論文はこのほど、「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。新華社が伝えた。

 研究者によると、銀杏は植物王国の「生きた化石」と呼ばれる、世界で現存するうち最も古い樹木の一種だ。現在の銀杏は古い銀杏家族の唯一の生き残りだ。論文の筆頭著者で、浙江大学生命科学学院准教授の趙雲鵬氏は「古代の祖先の様子を忠実に留めており、扇形で葉が大きく2裂する銀杏は、化石でもそうであり、現実世界においても確認できることだ」と述べた。

 研究者は世界で545点の代表的な銀杏サンプルを集めた。これらの銀杏の樹齢は百年近く、幹の直径はいずれも50センチ以上。サンプルは世界の銀杏の自然分布範囲、有名な巨木をほぼ網羅。銀杏ゲノムシーケンスのサイズは10Gb以上で、人類の3.4倍に相当。545本から44Tbという大量のデータが生成された。

 個体群の遺伝構造と動的歴史のシミュレーション・分析により、研究チームは銀杏の4つの古い遺伝成分が中国の3カ所の「避難所」に存在することを明らかにした。それは、浙江省の天目山を始めとする東部、貴州省の務川及び重慶市の金仏山を始めとする西南部、広東省の南雄及び広西壮(チワン)族自治区の興安を始めとする南部のことだ。世界が異常気象に見舞われると、種は次第にこれらの避難所に収縮されていく。気象条件が良くなると、これらは再び外の世界に拡張することになっている。

 同研究により、世界に分布している銀杏のほぼすべてが、浙江省天目山個体群を始めとする中国東部由来であることが分かった。また銀杏は種の水準において高い水準の遺伝子変異を維持している。これは銀杏が環境の変異に直面した際に、多くの対策を持つことを意味する。研究者は、銀杏がまだ進化を続けていると信じている。

 新たな危機も生じている。研究者は野外観測中、多くの野生の銀杏の巨木の周辺に、10年近くにわたり天然更新が行われている幼木や3年以上活着している苗が出現していないことを発見した。また大多数の銀杏の野生個体群が自然保護区内にないことが分かった。趙氏は「これは人々が再び救いの手を差し伸べ、正確かつ重点的に保護する必要がある」と述べた。

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