中国原産の銀杏は長寿で知られる木で、中国各地で大量に分布している。揚州大学が15日に明らかにしたところによると、同大学銀杏研究チーム、北京林業大学の林金星氏のチーム、林木分子設計育種先端センターが協力し、7年の期間をかけ細胞学・生理学・マルチオミクス・分子生物学などの科学鑑定手段を用い、銀杏の長寿は単一の長寿遺伝子のコントロールではなく、成長と老化の過程における複数の要素による総合的なバランスの結果であることを発見した。この研究成果は米国科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。科技日報が伝えた。
同研究は年輪測定技術とDBHsを結びつけた分析により、成年の木と比べると老木の形成層の細胞層数が少なく、新たに生まれる年輪の幅が狭いことを明らかにした。またアウキシンの含有量が減り、アブシジン酸の含有量が増え、細胞分裂・分化の関連遺伝子の発現が弱まることから、老木の維管束組織の成長が緩慢になることが分かる。だが老木の幹の横断面積の増加量が高い水準を維持していることは、銀杏の老木の形成層の幹細胞が依然として旺盛かつ持続的な分裂能力を持つことを示している。
これらの形態・生理・分子レベルの結果を見ると、銀杏の老木は全体的に健康な成年の状態、「青春の活力」を維持しており、老衰の段階に入っていないことが分かる。そのため銀杏の老木の維管束形成層の細胞の持続的な分裂能力が、老衰防止の重要な役割を果たしていると判断できる。
樹木の成長、発育さらには老衰はいずれも、過酷な環境、病虫害、病原菌などの微生物からの攻撃に対応する必要がある。同研究は銀杏の老木の維管束形成層の細胞の中で、研究によりR遺伝子の数がその他の種をはるかに上回ることを発見した。またリグニンモノマー、フラボノイド、スチルベンの代謝ルートの遺伝子の数と発現も、老木の中で減少していなかった。
ここから推測すると、銀杏の老木はリグニンなどの物質を持続的に合成し、幹の密度と強度を上げることで、太くなり続ける樹体を支えている。同時に大量のR遺伝子の持続的な発現及び特殊な保護機能を持つ代謝物の蓄積により耐性を強め、各種生物と生物以外の脅威に対抗することで、寿命を大幅に延長している。この研究成果は樹木の個体水準の成長と老衰調節メカニズムの解明に対して、重要な科学的意義を持つ。