四川省成都市の退院患者が核酸検査で再び陽性が出たという情報がSNSで広く伝わっている。報道によると、成都市衛生健康委員会宣伝処はメディアの取材に応じた際に、この情報を確認した。同患者の退院時の各種指標は、当時採用されていた診断プランの要求に合致していた。同患者は再び収容され、治療を受けている。科技日報が伝えた。
このニュースが報道されると、直ちに人々から広く注目された。多くのネットユーザーは理解できず、懸念を示した。「これはいったいどういうことか、完治後に再び感染し再発するというのか」
南方医科大学3級生物安全実験室の趙衛室長は取材に対し、「理論上は再感染の可能性があるが、この可能性は微々たるものだ。患者の体内にウイルスが残留しており、退院時のさまざまな原因により検出されなかった可能性が高い」と述べた。
趙氏はまた、「報道を見ると、同患者は2月10日に退院し、当時の「新型コロナウイルス肺炎診療案(試行第5版)」の退院基準に合致していた。24時間以上の間隔を空けた2回の核酸検査で陰性が出た。その後の検査で陽性になったが、これには次の2つの原因があった可能性が高い。まず、患者はすでに完治し、症状がないように見えたが、体内に少量のウイルスが残留し検出されなかった。次に、患者の体内のウイルスの数が多く検査の下限を上回っていたが、サンプル採取もしくは検査の過程にミスがあり偽陰性が出た。当然ながら現在採用されている核酸検査技術そのものにも一定割合の偽陰性があり、体系的なミスにより引き起こされた可能性がある」と述べた。
四川大学華西病院感染性疾患センター副センター長を務める主任医師の雷学忠氏も、「同患者が再び陽性になったのは、少数のウイルスが持続的に残留し、尾を引く状態だった可能性が高い」と判断した。
完治後に再感染するかという懸念について、趙氏によると、その可能性は極めて低い。完治すれば体内にウイルスへの免疫力がつくためで、再感染の可能性は低いというわけだ。だが一部のウイルス(例えばC型肝炎ウイルスなど)は非常に変異しやすく、体内の免疫保護がその変異のペースに追いつかない。患者が完治した後も、従来の免疫力では変異したウイルスに対応し人体を効果的に保護することができず、再感染が生じうる。趙氏は「しかし、現状を見る限り、新型コロナウイルスにこの問題は存在しないはずだ。異なる地域・異なる時期・異なる患者からのウイルスのゲノム解析により、非常に安定していることが分かっているからだ」と強調した。
雷氏も取材に対し、「退院基準をより厳しくしている。今まで検査において2回連続で陰性の結果が出れば退院できたが、それを今3回に増やした」と述べた。
また雷氏は過度に懸念する必要はなく、このようなケースは極めてまれであると注意を促した。再び陽性が出たとしても、症状は重くない。さらなる隔離・処理を行えば、こうした患者を適切に治療することができるという。