国家衛生健康委員会は2月29日、「中国・WHO新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19))共同調査報告書」を発表した。主な内容は下記の通り。人民網が伝えた。
動物由来
1.新型コロナウイルスは動物由来のウイルスだ。コウモリはこのウイルスの宿主と思われるが、中間宿主についてはまだ不明。
感染ルート
2.新型肺炎の感染は、防護を受けない飛沫や濃厚接触により、感染者と被感染者の間で発生する。
3.新型肺炎の空気感染に関する報告は現段階ではまだない。
4.医療機関において、医療操作によりエアロゾル感染が発生する可能性もある。
5.呼吸器、排泄物、血液の検体から新型コロナウイルスが検出されている。しかし経口感染のウイルス感染における地位・役割については明らかになっていない。
感染の特徴
6.中国では、新型肺炎の人から人への感染は家庭の中が中心。
7.濃厚接触者の1−5%がその後、実験室で新型肺炎と診断されている。
8.ほぼすべての人が感染しやすく、感染後に免疫力が備わるかについてはさらなる研究が必要。
感染ルート
9.武漢市で見つかった早期患者は、動物から人への感染と判断されている。2月25日現在、動物の感染源がまだ確認されていない。
10.現時点で、中国の圧倒的多数の患者は武漢市または湖北省在住者あるいはその直接的な関係者となっている。
11.共同調査チームの取材に応じた人のうち、子供から成人に感染するというケースは見られなかった。
新型コロナウイルスによる肺炎の症状
12.新型コロナウイルスによる肺炎の症状は非特異性で、無症状から重症肺炎さらには死に至る場合もある。
13.2月20日まで現在の実験室で診断が確定された患者5万5924人のうち、典型的な症状・症候は下記の通り。
発熱 87.9%
空咳 67.7%
脱力 38.1%
喀痰 33.4%
息切れ 18.6%
喉の痛み 13.9%
頭痛 13.6%
筋肉・関節痛 14.8%
寒気 11.4%
不快感、吐き気 5.0%
鼻づまり 4.8%
下痢 3.7%
喀血 0.9%
結膜充血 0.8%
患者の分布
14.多数の患者が軽症で治癒できる。
15.実験室内の診断確定者の約8割が軽症や普通型。13.8%が重症型で、6.1%は重篤型。
16.無症状感染が報告されているが、報告時に無症状であってもその後症状が出る場合が多い。
17.実際の無症状感染者の割合については不明だが、比較的珍しく、感染を助長する主な要因でもない。
感染者の特徴
18.重症と死亡のリスクが高い年齢は60歳以上、及び高血圧、糖尿病、心血管疾患、慢性呼吸器疾患、がんなどの基礎疾患の患者。
19.データによると、18歳以下の罹患率が相対的に低い。子供の患者が少なく、症状も軽い。
20.19歳以下で重症(2.5%)または重篤症(0.2%)になるケースは稀。
21.妊婦が重症者になるリスクは高くないようだ。
症状の進行状況
22.患者は感染後平均5、6日(平均潜伏期間は5、6日、範囲は1−14日)で軽度の呼吸器症状や発熱などの症状が出る。
23.全国的に見ると、発症から実験室での診断確定までの平均時間は1月初めの12日(8−18日)から2月初めの3日(1−7日)に短縮された。武漢市ではそれぞれ15日(10−21日)、5日(3−9日)となっている。
24.使用可能な初期段階のデータによると、発症から臨床治癒の平均時間は軽症が約2週間、重症・重篤症が約3−6週間。
25.初期段階のデータによると、発症から酸欠などの重症に至る時間は1週間。
26.死亡患者の発症から死亡までの時間は2−8週間。
致死率
27.80歳以上が致死率が最高(21.9%)。
28.男性の致死率が女性を上回る(男性は4.7%、女性は2.8%)。
29.合併症のない患者の致死率は1.4%。
30.合併症のある患者の致死率は大幅に上がる。合併症として血管疾患のある患者の死亡率は13.2%、糖尿病は9.2%、高血圧は8.4%、慢性呼吸器疾患は8.0%、がんは7.6%。