複数国の研究者は自国の新型コロナウイルスの変異を確認している。この変異はどのような影響をもたらすだろうか。環球時報が伝えた。
ブラジル保健省が2日に発表した最新データによると、ブラジルの感染確定者は2人。ブラジルの研究者は1人目の感染者がドイツで見つかったウイルスに類似し、2人目が英国で見つかったウイルスにより類似していることを発見した。この2人の患者はいずれも今年2月にイタリアで感染した後ブラジルに帰国したという。
サンパウロ大学医学院の研究者によると、ウイルスの変異は感染症が関連地域における拡散で残した痕跡で、ウイルスの感染経路の特定に用いることができる。しかし専門家は、この2人は中国で見つかった感染者と異なるとしている。
オーストラリアにも、ウイルスに変異が生じているとする研究者がいる。3日付のインド英文紙「THE HINDU」によると、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)はこの「SARS-CoV-2」と呼ばれるウイルスに変異が生じているとしている。
中国科学院が発行する「国家科学評論」は3日、「SARS-CoV-2の起源と持続的な進化」と題した論文の中で、中国の科学研究チームによる最新の発見を発表した。新型コロナウイルスには最近、149の変異点が発生するとともに、L亜型とS亜型に分かれている。研究によると、地域の分布および人々の割合において、この2つの亜型には大きな差がある。S亜型は相対的に古いバージョンで、L亜型はより攻撃的で、より感染力が強い。
論文によると、異なる亜型の理解を深めることで、新型肺炎の差別化治療と予防・抑制の一助となる。論文の作者は、新型コロナウイルスの変化方法から推測すると、L亜型とS亜型の感染力や症状の程度には大きな差が存在する可能性があるとみている。
武漢大学医学部ウイルス学研究所の楊占秋教授は4日、取材に対し「ブラジルの患者2人のウイルス検体のうち1つは英国と同じで、もう1つはドイツと同じというのは、欧州で流行している新型コロナウイルスが、まさにこれらの亜型であることを意味する。変異後の異なる新型コロナウイルスは、症状の特徴に差が存在する。例えば中国のウイルスの致死率は2%だが、欧州ではさらに上がるかもしれない」と話した。
楊氏は「ウイルスの変異は、感染経路及び感染源の特定に間違いなく役立つ。例えるならば、鄭州市の患者のウイルスが武漢市の患者と異なれば、武漢から伝わったのではなく、この地域にもともとウイルスがあり、武漢とは関係がないという可能性がある。武漢と同じであれば、武漢から伝わったことになる」と説明した。
楊氏はさらに、「新型コロナウイルスの変異は、ワクチン開発にとって大きな意義があり、感染の診断にとっても価値がある。欧州の患者の遺伝子配列が武漢と異なれば、中国の診断データを使い欧州諸国の患者を検査しても、検出されることはない。ワクチンも同じ原理で、ブラジル人患者のウイルスが中国と異なる型であれば、中国のワクチンを彼らに使用しても効果がなく、保護的役割を果たせない。これによってワクチンや試薬キットの開発がより正確になる」と話した。
なお、韓国の聯合ニュースによると、韓国化学研究院は4日、同研究院の新型ウイルス共同研究チームが新型コロナウイルスの抗体を発見したと発表した。