「武漢市の新型コロナウイルス肺炎入院患者がゼロになった」。国務院共同感染対策メカニズムが26日に開いた記者会見において、米鋒報道官はこの喜ばしいニュースを伝えた。武漢の感染症専門病院として真っ先に感染症との戦いを開始した金銀潭病院は、「台風の目」と例えられた。金銀潭病院は現在、消毒作業を行っており、間もなく診察を再開する。金銀潭病院の張定宇院長は24日、単独取材に応じた際に、「武漢で大規模な感染が再発する可能性は低いが、病院は入院患者がゼロになった後にエリアを確保し、散発的な新型コロナ患者の収容、治療の継続に備える」と述べた。環球時報が伝えた。
金銀潭病院は昨年12月27日に第1陣の患者を収容してから、感染症の最前線で奮戦を続けている。張氏の説明によると、院内では医療従事者9人を含む職員21人が感染したが、すでに全員が回復しているという。
武漢の封鎖解除後の感染状況の発展について、張氏は「現在の感染対策を続ければ、武漢で大規模な感染症が再流行する可能性は低い。散発的な患者、または少数の集団感染のみが残される。新型コロナは人類史上における珍しい感染症で、感染対策が適切であれば常態化することはない。感染症は現在、人類の生存を脅かす主要疾患ではない。今回は感染者が比較的多く、特に効果的な治療方法がなく、世界的なパニックが生じたに過ぎない。今回の新型コロナのような大規模な感染症は、私の職業人生において最初だが、きっと最後になるに違いない。この規模の感染症は100年か200年に1度しか起きない」とみている。だが、同時に張氏は「2009年のH1N1鳥インフルエンザ、2017年のH7N9鳥インフルエンザなどの中規模の感染症は3−5年、さらには1−2年に1回発生する可能性がある」とも警告している。
◆検体の速やかな検査がカギ
2019年12月27日、武漢同済病院の患者一人が金銀潭病院に転院した。その後、湖北省新華病院にも類似する症状の患者7人が転院してきた。彼らは華南海鮮市場を訪れていた。張氏は直ちに患者の肺胞洗浄を決定し、検体を採取し、検査のため東西湖疾病予防管理センターと武漢ウイルス研究所に送った。金銀潭病院は直ちに検体を検査に送り、その後の検査報告の結論の形成、華南海鮮市場の閉鎖決定に根拠を提供し、さらなる感染者の発生を回避した。
張氏はどのようにして、いち早くこの正確な措置を講じたのだろうか。張氏は「すでにその他の病院からシグナルが出ていたため」と述べた。武漢市中心病院はすでに肺胞洗浄液を2回採取し、第3者検査機関に送っていた。遺伝子配列により、「SARS関連のコロナウイルス」という初期段階の結論が導き出されたが、これが最初のシグナルだ。新華病院も当時、類似する症状の患者7人の咽頭ぬぐい液検査を行ったが、病原体が検出されなかった。張氏はこれが2つ目のシグナルと判断し、2軒の病院の異なる検査結果を比較した。院内の専門家との分析・判断により、肺胞洗浄で検体採取を行うことを決定した。
感染流行の初期段階に開かれた動員大会で、張氏は人々の前で涙を流した。張氏は、「当時は重篤患者が急増し、患者の死亡が止まらなかった。医療従事者はどうすることもできなかった」と振り返った。
4カ月が過ぎたが、張氏はこのような恐怖は今後しばらく生じないと考えている。「これはその後に講じた策と措置によるものだ。重篤者の治療方法が増え、治療の成功率が上がり、重篤者が減少を続けた。こうした策と措置は個別の治療方法ではなく、トータルなソリューションとなっている。これには都市封鎖、臨時医療施設の設置、重症の治療プラン、国の政策レベルの援助が含まれる」。金銀潭病院は今後も患者収容の重責を担うことになるが、張氏は落ち着き払っている。「最も救いのない時でも力と自信があった。これがなければ持ちこたえられなかっただろう。これは国と医療従事者への自信であり、感染症に最終的に勝てると信じている」と張氏。
金銀潭病院の張定宇院長