2020年05月11日-05月15日
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中国の宇宙ステーション、内部の構造が明らかに

2020年05月11日

 計画によると、中国の宇宙ステーションは2022年頃に完成する。宇宙ステーションは高度340−450キロの近地球軌道を10年以上周回し、大規模な宇宙科学実験、技術実験、宇宙応用などの活動をサポートする。さらに宇宙メンテナンスにより耐用期間を延ばし、規模を拡張することも可能だ。人民日報が伝えた。

 「天宮」という中国らしい名称を持つ中国の宇宙ステーションは、通常の定員は3人で、宇宙飛行士の交代時に最大6人となる。完成後は中国の軌道上で長期にわたり安定的に稼働する国家宇宙実験室になる。

 中国有人宇宙事業のチーフデザイナーである周建平氏によると、宇宙ステーションの基本構造は、1つのコアモジュール、2つの実験モジュールという3つのモジュールからなっている。各モジュールはいずれも20トン級で、3つの合体時の質量は約66トン。宇宙ステーションは全体的にT字型で、コアモジュールが中央に位置し、実験モジュールⅠとⅡがその両側につながる。うちコアモジュールは宇宙ステーション全体の制御を行い、2つの実験モジュールは生物、材料、微小重力流体、基礎物理学などの科学実験に用いられる。

 中国航天科技集団第五研究院宇宙ステーションシステム副チーフデザイナーの朱光辰氏は、「有人宇宙船の神舟が1台の車と例えれば、天宮1号と2号は1部屋+1リビングの家で、宇宙ステーションは3部屋+2リビングで物置部屋もつく」と分かりやすく説明した。

 コアモジュール「天和」の全長は16.6メートル、最大直径は4.2メートル、打ち上げ質量は22.5トンで、宇宙飛行士3人の軌道上での長期滞在をサポートする。中国が現在まで開発しているうち最大の宇宙船だ。宇宙飛行士の宇宙における長期生活をより快適にするため、コアモジュールは設計面で大きな進展を実現した。宇宙飛行士の勤務・生活空間として約50立方メートルを確保しており、これに2つの実験モジュールを加えると宇宙飛行士の活動空間全体が110立方メートルに達する。

 実験モジュールⅠ「問天」の主要任務は、船内・船外宇宙科学実験及び技術実験で、宇宙飛行士の勤務・生活の場、緊急避難所にもなる。実験モジュールⅠは宇宙飛行士の船外活動専用空気制動モジュールを搭載しており、宇宙飛行士の船外活動をサポートする。小型ロボットアームを配備することにより、船外ペイロード自動取付・操作が可能だ。実験モジュールⅠにはコアモジュールの一部重要プラットフォーム機能がある。つまり必要な場合、宇宙ステーション全体の管理と制御が可能ということだ。

 実験モジュールⅡは「夢天」で、Ⅰと似た機能を持つ。Ⅱにはさらに貨物専用空気制動モジュールが搭載されている。宇宙飛行士とロボットアームのアシストを受け、貨物とペイロードの自動的な出入りをサポートする。

 宇宙ステーション事業には、宇宙往還輸送システムと貨物輸送システムも含まれる。宇宙往還輸送システムは有人宇宙船「神舟」と「長征2号F」キャリアロケットからなり、宇宙飛行士と一部物資の宇宙ステーションの往還に用いられる。神舟は宇宙飛行士3人の宇宙往還をサポートでき、宇宙ステーション停泊中も救難船として、宇宙飛行士の緊急救難と帰還に用いられる。

 宇宙ステーション貨物輸送システムは無人補給船「天舟」と「長征7号」キャリアロケットからなる。補給船は宇宙ステーションに宇宙飛行士の生活物資、推進剤、ペイロードなどの補給物資を輸送する。

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