企業が「提出」をクリックすると、政府から支給される500元(1元は約15.1円)の家賃補助が、従業員の口座に2秒で振り込まれる。以前ならば手続きに10営業日かかっていたが、「シティブレイン」によってわずか2秒で完了するようになった。人民日報が伝えた。
企業と市民には、政策のボーナスが「秒速」で直接届くのが見える。見えないのは裏方で力を発揮している杭州シティブレインだ。ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの先進技術が、都市管理で革新的に運用されている。
都市管理における「詰まり」によりシティブレインが誕生した。杭州市は2016年に率先してシティブレインの建設を計画し、デジタル化手段の運用による都市管理を模索した。「デジタルによる詰まり解消」から着手し、杭州は画期的な「遅延指数」を打ち出した。車両の全サンプル分析、データ全フロー監督管理により、信号制御アルゴリズムがより「スマート」になった。この3年間で杭州の人口は約120万人、自動車は40万台純増した。全体的な路面通行面積は地下鉄の施工などにより20%減少した一方で、道路平均通行速度は15%上昇した。
「詰まり解消」が効果を発揮すると、シティブレインは引き続き「デジタル都市管理」に拡張した。その革新的な成果は都市市街地管理、文化・観光、衛生・健康などの民生分野で相次いで応用されている。
例えば商業データと政府機関データの多元的融合により、観光客は「20秒で公園に入り、30秒でホテルにチェックインする」ことが可能になっている。これはすでに163の観光スポットや文化施設、414軒のホテルで実行されている。杭州はすでに60万3000カ所の駐車スペースで「後払い」を実現しており、列に並ぶ料金支払いをなくしている。市全体の254の医療機関が「安心して医者にかかる」サービスを導入し、累計で延べ3200万人以上にサービスを提供しており、履行金額は15億元以上。
杭州市江干区で、浜江物業管理有限公司の社長補佐の余金柱氏は「前後してわずか3日間で、当社の夫婦1組と若者1人が住宅を借りることができた。面積も向きも良かった」と述べた。シティブレインの「親清在線」プラットフォームにより、出稼ぎ労働者に安く広々とした賃貸住宅を見つけたため満足した様子だった。
賃貸住宅の満足度とマッチ度が高いのは、「スマート」なシティブレインが先に入念な準備をしていたからだ。ブルーカラー用のマンションをどこに建設するか、どのような企業の従業員による賃貸の需要に合わせるかなど、シティブレインはすでにデータ割り当てを行っており、5つの市級機関のデータをすべて共有している。
社会ガバナンスをより効率的でより細かくするため、杭州は「ビッグデータ+ネット化」も模索している。上城区湖浜街道の住宅1万763戸の情報がすべて統一住所データバンクに収められている。ビッグデータ解析により、一人暮らしの高齢者689人の日常状況を重点的に注目する。電力消費量などのデータに急な激しい変化があれば、シティブレインの「デジタルコクピット」は担当者に、高齢者の自宅を訪問し手助けが必要ないかを問い合わせるよう指示する。
シティブレインは現在すでに杭州市全体の96機関、317件の情報化システムプロジェクトに接続している。毎日平均で1億2000万件以上のデータを一致させている。今年の新型コロナウイルス感染症を受け、シティブレインは速やかに「デジタル感染症管理」に転戦した。初めて開発された3色健康コード、企業活動再開デジタルプラットフォーム、政商「親清在線」プラットフォームなど、いずれもデジタル化により感染予防抑制及び企業活動再開に力を与えた。杭州の各大手病院の発熱外来の人数は現在、シティブレインのプラットフォームで即座に、正確に表示される。これらのデータは感染対策期間中、重要な参考の役割を果たした。