数日前の2020世界人工知能大会の開幕式において、多くの人工知能(AI)が「智連家園」というテーマ曲を合唱した。しかしこのテーマ曲を作曲したのもAIであることはあまり注目されていないかもしれない。中国新聞網が伝えた。
「智連家園」の作曲者であるAI「小氷」は今年6月、上海音楽学院音楽工程学部2020年度「名誉卒業生」の称号を授与されたばかりだ。
小氷の「指導」を行った上海音楽学院音楽工程学部の教員である陳世哲氏によると、小氷が単独で「智連家園」のメロディーを作った。曲の効果をさらに高めるため、人も編曲の改善を行った。「人の手が加わっているが、主な作業はいずれもAIが完了したと言える」と陳氏。
小氷のチームは「小氷は2020世界人工知能大会のテーマ及び関連資料からインスピレーションを得て、この曲のメロディーを作った」と説明した。
実際に一段落の文字の記述や1枚の写真の刺激を受けると、現在の小氷は作曲の他にも、そのスタイルやリズムに基づき自動的に楽器の選択、編曲、歌詞の創作を行える。
小氷は現在、2分以内に3分ほどの完全な歌曲を作ることができる。
陳氏は「音楽は純粋に芸術的なものと思われがちだが、実際には二つに分けて考えることができる。音楽は芸術と感情を持つモノであるだけでなく、一定の規則もある。特にメロディーの創作と編曲、例えばよく使われる和音の配列構造には一定の規則がある」と説明した。小氷は現在、まさに音楽創作の「規則」の部分に的を絞った「創作」を行っている。
これはつまりAIが人間の「思考」を真似することなく、データにより音楽作品を「創作」できることを意味する。
AIの作曲は現在、完全に人の代わりを果たすことはできないが、多くの人が次のような疑問を抱いている。「AIが高度成長する今日、人の価値はどこに示されるのか?」と陳氏。
陳氏の答えは「感情」と「革新」だ。「未来の音楽創作において、人間の価値は感情面、あるいはAIが考えたことのないより革新的な分野で示される」と陳氏は言う。
陳氏は一方で、現段階のAIはハードルを下げられる技術と考えている。上海音楽学院音楽工程学部の教員である陳氏、竺茹伊氏らは今年、オンライン授業を4回行った。彼らは小氷と共に浙江省松陽県の学生に作曲方法を伝授した。
陳氏は「数回のリモート授業により現地の子供に基本的なメロディー創作の概念を教えれば、子供たちはいくつかの簡単なメロディーや歌詞を作れるはずだ。しかしこの作品は完全なものではなく、小氷が編曲能力を発揮することになる。小氷はスピーディに子供に協力し、作品を一つの曲として完成させることができる。このレベルについて言えば、AIは効率向上と、芸術伝播のハードルを下げる役割を果たした」と述べた。