プラスチック製品は現代の生活を便利にする一方で、環境汚染をもたらしてしまう。中国科学技術大学の兪書宏院士のチームはこのほど「特定方向変形組立」方法を使用し、バイオニック構造を持つ高性能材料を開発した。石油系プラスチックよりも高い機械・熱性能を持ち、その代替品になることが期待されている。新華社が伝えた。
現在大多数のプラスチックが石油系で、廃棄後に分解されにくく、持続的な環境汚染問題をもたらしている。同時に現在のバイオ系材料は高コストで製造が困難といった問題を抱え、普及の妨げになっている。
兪氏のチームはこのほど、バイオニック構造設計理念を活用し、「特定方向変形組立」と呼ばれる新材料製造方法を開発した。セルロースナノファイバーと酸化チタンに包まれる雲母片を複合させ、バイオニック構造を持つ高性能・持続可能な構造の材料を作った。
真珠層に似せた構造設計を採用したこの新材料は、実験によると、エンジニアリングプラスチックを大きく上回る強度を持つ上に、高い強靭性と亀裂に強い性能を持つ。マイナス130度からプラス150度の温度の範囲内で、そのサイズにほぼ変化が生じない。これは急激に収縮・膨張するプラスチックとは対照的だ。室温であればその熱膨張係数は大多数のプラスチックの約10分の1しかない。
国際的に有名な学術誌「ネイチャー・コミュニケーション」がこのほど、同研究成果を掲載した。