国家航天局によると、「嫦娥5号」は月面自動試料採取・密封を終え、3日深夜に月面からの離陸に成功した。点火・離陸前、着陸モジュール・上昇モジュール結合体に装備されていた「布版」の五星紅旗(中国国旗)が掲げられた。環球時報が伝えた。
2013年12月15日、「嫦娥3号」の着陸モジュールと月面ローバー「玉兎号」は、それぞれのボディに塗装された中国国旗を相互に撮影することで、月面に初めてもたらされた国旗を映し出した。2018年12月8日、「嫦娥4号」は月の裏側に国旗をもたらした。しかし、月面国旗表示システムの開発機関によると、嫦娥5号の国旗表示の方法は嫦娥3号・4号と大きく異なる上、開発の難易度がさらに高くなったという。
開発機関である中国航天科工集団航天三江九部によると、嫦娥3・4号及び玉兎号の国旗が本体に吹付塗装されていたのと異なり、嫦娥5号の国旗は本物の旗だ。
宇宙に強い電磁放射線があり、そして月面にプラス・マイナス150度の温度差があるといった過酷な環境により、一般的な国旗は月で使用できない。
国旗表示システムプロジェクト責任者の馬威氏は、「国旗表示システムは船外単一システムだ。キャリアロケットのノーズコーンが外され、月遷移軌道から月周回軌道に移り、さらに探査機が月に着陸するまで、常に過酷な環境にさらされる。我々の試験により、地球で使っている国旗を月に置いた場合、短時間内に色あせ、色移りし、さらには分解されることが分かった」と説明した。
初めて宇宙事業開発任務を担当した同チームにとってはまさに手探りで、大きな技術の難題が目の前に突きつけられた。国旗表示システムの技術責任者である程昌氏によると、科学研究チームは材料選択に1年以上かけ、最終的に20−30種の繊維材料を選んだ。それから熱適合性、耐高温・低温、静電防止、耐砂塵などを含む物理試験を行い、科学研究チームは最終的に新型複合材料の採用を決定した。これにより国旗が月面の過酷な環境に耐えられ、色あせも色移りも変形もしないようになった。馬氏は「一枚の薄い国旗ではあるが、多くのテクノロジーが応用されている」と述べた。
開発機関によると、国旗表示システムのプロジェクト立ち上げの際に、多くの候補プランの論証が行われた。しかし複雑さや重量などを考慮し、最終的に骨組式構造が採用された。国旗表示システムプロジェクト責任者の李雲峰氏は「最終的に骨組式構造プランを採用したのは、宇宙システムの中で比較的成熟した技術だからだ。衛星や宇宙船などのソーラーパネルを開くのに使うのがこの構造だ。つまり、信頼性を保証するためにこの構造を採用したということだ」と述べた。