中国、世界初の衛星・地上間量子通信ネットワークを構築

2021年01月07日

　32年前、人類史上初の量子通信が実験室内で実現され、伝送距離は32センチだった。中国人は現在この距離を1400万倍以上に広げ、地上から宇宙へのマルチユーザー通信を実現した。中国科学技術大学は7日、中国の科学研究チームが距離4600キロの衛星・地上間量子鍵配送に成功したと発表。これは中国が天地一体型広域量子通信ネットワークの原型を構築したことを示している。この成果は英誌「ネイチャー」に掲載された。新華社が伝えた。

　量子通信は量子テクノロジーの3大方向の一つだ。中国は20年以上の取り組みにより、同分野における追走からリードへの重要な転換を実現した。中国は2016年に世界初の量子科学実験衛星「墨子号」を打ち上げた。2017年には世界初の量子機密通信幹線「京滬幹線」を構築した。

　墨子号と京滬幹線が手をつなぎ、中国科学技術大学の潘建偉氏、陳宇翺氏、彭承志氏らが、中国科学院上海技術物理研究所の王建宇氏の研究チーム、済南量子技術研究院、中国ケーブルテレビネットワーク有限公司と協力し、世界初の衛星・地上間量子通信ネットワークを構築した。2年余りの安定性・安全性試験により、4600キロのマルチユーザー量子鍵配送を実現した。

　潘氏は「広域量子通信を実現するには、光子損失やデコヒーレンスなど一連の技術的難題が存在する。例えば光子数は光ファイバーを使う場合、約15キロの伝送で半減し、200キロの伝送後には1万分の1のみになる。科学研究チームは光学システムなどの面で複数の先進技術を発展させ、これらの難題を解消した」と説明した。

　潘氏によると、ネイチャーの査読者は、これは地球最大で最先端の量子鍵配送ネットワーク、量子通信の「大きな工学的成果だ」と評価した。

　ネットワーク全体で中国の4省・3直轄市の32地点をカバーする。これには北京、済南、合肥、上海の4つの量子都市ネットワークが含まれ、2つの衛星地上ステーションを通じ墨子号とつながり、総距離は4600キロ。現在すでに金融、電力、行政などの業界の150以上のユーザーと接続している。