中国科学院、中国工程院が主催し、中国科学院院士と中国工程院院士が投票で選出する中国2020年の10大科学技術進展ニュース、世界10大科学技術進展ニュースが20日、北京市で発表された。
選出された2020中国科学技術進展ニュース(1-5)は下記の通り。
■嫦娥5号が初のサンプルリターンを実現、科学研究が開始
中国は11月24日午前4時30分、月探査事業の「嫦娥5号」探査機を打ち上げ、2月1日夜に予定の着陸エリアへの着陸に成功した。月の土壌を採取した後、嫦娥5号の上昇モジュールが12月3日に月面より離陸し、着陸モジュールは12月17日午前1時59分に内蒙古(内モンゴル)自治区四子王旗の予定エリアに着陸した。これは中国初の宇宙サンプルリターン任務が順調に完了したことを意味する。その後、嫦娥5号の重さ1731グラムのサンプルが中国科学院に引き渡された。国家天文台の「月サンプル実験室」で保管、処理、分析が行われ、月サンプルと科学データの応用と研究を正式に開始する。
■北斗3号の最後のグローバルネットワーク構築衛星が打ち上げられ、北斗グローバルシステム衛星ネットワークの設置が完了
中国は6月23日午前9時43分に西昌衛星発射センターで「長征3号乙」キャリアロケットを使い、北斗システムの55基目の測位衛星及び北斗3号最後のグローバルネットワーク構築衛星の打ち上げに成功した。これにて北斗3号グローバル衛星測位システム衛星ネットワークの設置が、計画より半年前倒しで全面的に完了した。
■深海潜水に再び朗報、中国の無人潜水艇・有人潜水艇に新たな進展
中国科学院瀋陽自動化研究所が開発を担当した全水深自律・リモートコントロール潜水艇「海斗1号」が6月8日、科学調査船「探索1号」に乗り海上試験から帰還した。「海斗1号」は同航行段階において、マリアナ海溝で近海底自律航行探査と海底作業を実現した。最大潜水深度は1万907メートルで、中国の1万メートル級作業型無人潜水艇の空白を埋めた。中国船舶集団有限公司第702研究所がリード役となり、全体設計と建造を担当し、中国科学院深海科学・工程研究所などの複数の研究機関が共同開発した全水深有人潜水艇「奮闘者」号が11月28日、科学調査船「探索1号」と共に帰還した。「奮闘者」号はマリアナ海溝の海底に到達し、1万909メートルという中国有人深海潜水新記録を樹立した。これは中国の大深度有人潜水が世界トップ水準に達したことを意味する。
■中国が世界に先駆け水平井掘削技術で深海メタンハイドレートを掘削
自然資源部(省)は3月26日、中国海域天然ガスハイドレート第2期試掘成果ビデオ報告会を開いた。今回の試掘がこのほど成功し、目標を達成したと報告会で明らかになった。天然ガスハイドレートは通常メタンハイドレートと呼ばれる。南中国海・神狐海域の水深1225メートルの試掘により、「ガス生産量86万1400立方メートル、1日当たりガス生産量2万8700立方メートル」という2つの世界新記録が樹立された。
■科学者が小麦の「がん」キラーを発見
山東農業大学農学院教授で、山東省現代農業産業技術体系小麦イノベーションチーム首席専門家の孔令譲氏及びそのチームは、小麦の近縁植物であるカモジグサに含まれる赤かび病耐性遺伝子「Fhb7」のクローンに初めて成功した上、これを小麦の品種に移入させ、小麦の耐病性育種において安定的な赤かび病耐性を持ち、広い解毒作用を持つことを初めて明らかにし、検証した。関連研究成果は4月10日に、「サイエンス」にオンライン掲載された。現在すでに30数社が赤かび病耐性を持つ生殖質を使い、小麦の赤かび病耐性遺伝改良を行っている。さらに山東省、河南省、江蘇省、安徽省などで広く試験を展開し、良好な結果を示している。