インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)は「世界人工知能(AI)市場上半期追跡報告書」を発表した。それによると、昨年上半期の世界のAIサーバーの市場規模は55億9000万ドルにのぼり、AIインフラ市場の84.2%以上を占めた。そのうち中国メーカーの浪潮は16.4%の市場シェアにより、世界AIサーバーのリーディング企業になった。中国青年報が伝えた。
多くの計算分野の専門家は、「計算力はデジタル時代におけるコア生産力になった。一方で、AI計算能力と科学計算能力は、一国の最先端の計算能力を反映している」と見ている。
中国工程院の王恩東院士は「計算は絶えず発展するものだ。最初の数値計算から徐々に科学計算、クリティカル計算、スマート計算に変化している。AI計算の需要は現在指数関数的に成長しており、将来的に計算の8割以上の需要を占めることになる。この需要を担うのがAI計算力センター、すなわちスマート計算センターだ」と話した。
中国の第14次五カ年計画と2035年長期目標綱要の正式な発表に伴い、デジタル時代の到来とデジタル化の加速が発展の流れになっている。デジタル時代の基礎的能力を支える計算力の戦略的価値が日増しに際立つようになっている。
報告書によると、中国のAIサーバーはすでに世界のAI産業発展の中堅としての能力を備えている。うちAIサーバーの市場規模はAIインフラ市場全体の87%以上を占め、急成長を続けている。報告書は、中国のAIサーバー市場が将来的に、世界市場の3分の1前後を占めると予測した。
北京理工大学コンピュータネットワーク攻防対抗研究所の閻懐志氏は、「中国は第14次五カ年計画期間中(2021−25年)、デジタル経済の発展に重点的に取り組み、各業界のデジタル化モデル転換を実現する。国内のAI業界はこの波に乗り、AIインフラと従来のインフラのスマート化高度化建設の取り組みを強化するべきだ」との見方を示した。
デジタル時代の到来に伴い、GDP成長に対する計算力のけん引効果もより際立つようになった。「世界計算力指数評価報告書2020」によると、計算力指数が1ポイント上昇するたびに、デジタル経済が3.3‰、GDPが1.8‰成長する。一国の計算力指数が40ポイント以上の場合、指数が1ポイント上昇するたびに、GDP成長に対するけん引が1.5倍になる。60ポイント以上になると、GDP成長に対するけん引は2.9倍に上昇する。
報告書によると、長年の持続的な発展を経て、技術力と大量のデータ資源の蓄積の加速、大きな応用の需要、開放的な市場環境との有機的な結びつきが、中国のAI発展の独特の優位性を形成した。中国の計算力指数の評価は現在66ポイントで、世界の先頭集団に入っている。
閻氏は「AI発展の既定の目標を達成するためには、AI高性能計算力の基礎を構築する必要がある。独自のもので制御可能な、安全で信頼できるAI産業ソフト・ハード協同能力を構築し、AIのオープンソースと公共サービスプラットフォームの建設を推進しなければならない」と述べた。
さらに、「AI産業の発展には人材のストックが必要だ。中国のAI人材は数が多いが、リーダー格やハイレベルの人材が少なく、トップによるけん引効果が表れにくい。デジタル時代の力強い発展は、より強い中国の計算力を必要としてる」と強調した。