国家航天局によると、火星探査機「天問1号」が2021年5月15日、火星のユートピア平原南部への着陸に成功し、火星に初めて中国の印を残した。同探査機は火星の表面で356火星日稼働しており、火星探査車「祝融号」の走行距離は1921メートルにのぼっている。周回機は打ち上げから661日飛行しており、火星周回軌道に入った後に遠隔探査を続けている。両装置のコンディションは現在良好で、累計で約940GBの生科学データを取得・伝送している。科学者チームは現在、データの分析、解釈、研究を展開している。人民網が伝えた。
また、中国科学院国家宇宙科学センターによると、同センターの劉洋研究員のチームは祝融号が取得した短波赤外線スペクトルとナビゲーション地形カメラのデータに基づき、着陸エリアで岩化した板状の堅い層を発見した。スペクトルデータの分析により、この堆積岩に似た層に水を豊富に含む硫酸塩などの鉱物が含まれることが分かった。研究チームは、この硫酸塩を豊富に含む硬い層が地下水の湧出、または毛細管現象による蒸発で結晶化した塩類鉱物が火星の土壌に付着した後に岩化作用によって形成されたと推定している。これは祝融号が世界で初めて探査車の短波赤外線分光計を利用し、火星の現場で水を含む鉱物を探査したことを示している。劉氏は、「祝融号の着陸エリア(及び火星北部平原の広範なエリア)には、水を含む鉱物という形式で存在する利用可能な大量の水があり、未来の有人火星探査の現場で資源として利用できる可能性がある」と述べた。この発見は火星の気候環境の変化の歴史を理解する上で重要な意義を持つ。同成果は国際的な学術誌「サイエンス・アドバンシス」に掲載された。