2022年07月25日-07月29日
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中国産初の救急搬送型ECMO、重症患者の救命に成功

2022年07月28日

 天津大学が主導で開発した初の国産救急搬送型ECMOがこのほど、患者の命を救った。本稿執筆時点で同患者の容態は安定しており、併発症も出ていない。

 ECMOはクリティカルケア分野の先進技術で、その治療水準は一つの病院や地域、さらには一国の危篤患者の総合緊急救命水準を示す重要なシンボルとなっている。世界の主要ECMOメーカーは長期的に米国、ドイツ企業が主導しており、その製品は高額だ。中国の保有台数はわずか500台ほどで、ほぼ海外からの輸入に依存している。新型コロナウイルスの感染期間中には、機械を奪い合うほどだった。

 そのため、天津大学医学部救急医学研究院と天津匯康医療用設備有限公司が、中国初の救急搬送型ECMOを共同で研究開発した。チームは海外の有力製品の長所と短所を全面的に比較分析し、中国の実際の救命臨床需要と結びつけ、ECMOの血液ポンプ、抗凝固コーティング、膜型人工肺、パイプなどの中核技術設備に焦点を当て、独自の研究開発を展開した。

 天津大学救急医療研究院副院長の樊毫軍教授は、「一般的なECMOと比べると、救急搬送型ECMOはより小型で携帯しやすく、操作がシンプルで性能が安定し、応用シーンがさらに広く、各種自然災害による複雑な環境における現場での応急処置、重症・重傷者の安全な搬送及び病院搬送前の応急処置などのシーンに使える」と説明した。

 河北省張家口市河北北方学院付属第一病院救急科は7月22日、1人の重症患者を受け入れた。この患者は入院時に危険な状態で、危篤の状況となり、容態が極めて不安定だった。専門家チームの立ち会い診察、家族への説明を行い、同意を取り付けた後、病院は患者に国産救急搬送型ECMOを使用した。静脈・動脈呼吸循環補助機能の実施により、患者は12時間後に徐々に意識を取り戻した。ベッド横の超音波画像モニターに、心機能の回復が表示された。医師はECMOのポンプ流量を徐々に減らし、取り外しに成功した。

 国産救急搬送型ECMOの今回の臨床応用の成功は、海外製品の同分野の独占的な地位を打破し、国産先端ECMOの独自開発の重要なブレイクスルーを実現する見込みだ。

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