2023年03月13日-03月17日
トップ  > 科学技術ニュース>  2023年03月13日-03月17日 >  長江スナメリとシナウスイロイルカのモニタリングプラットフォームが完成

長江スナメリとシナウスイロイルカのモニタリングプラットフォームが完成

2023年03月14日

 長江スナメリとシナウスイロイルカは国家1級重点保護野生動物(特別天然記念物)で、いずれも中国で生息する希少水生哺乳類(小型鯨類)だ。これらの「水中の国宝」を守るべく、中国科学院水生生物研究所鯨類研究チームは複数の保護区と研究開発機関と協力し、内陸河川と近海をカバーする初の水生哺乳類リアルタイム音声・映像スマートモニタリングプラットフォームを完成させた。現在すでに正式に稼働開始している。中央テレビニュースが伝えた。

 中国科学院水生生物研究所の王克雄研究員は、「長江スナメリとシナウスイロイルカは中国の長江流域及び南中国海沿岸水域の生態環境の質と生物多様性の重要な指標種だが、水生哺乳類として、水中で活動する時間が約95%を占めるため、従来の目視と音声観察では長時間・広範囲の観察データが得られない。それに対し、同システムはソナー識別や映像捕捉などの技術的手段を結びつけ、24時間・全天候型のリアルタイムモニタリング・早期警戒を実現できる」と説明した。

 同モニタリングプラットフォームは現在、長江中・下流本流、洞庭湖、鄱陽湖などの長江スナメリの重要生息水域や、広東省の珠江河口などのシナウスイロイルカの重要生息水域に40数ヶ所のモニタリングポイントを設置している。長江スナメリとシナウスイロイルカのソナー信号をリアルタイムで識別し、動物の個体数と正確な方角を測定し、動物の移動・捕食行動を判別できる上、動物の水面活動の映像をリアルタイムで撮影し、水上輸送の水中騒音をモニタリングし早期警戒を出すなどを行い、科学研究データの収集と保護区の効率的な管理に重要なプラットフォームを提供している。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます