3年前に中国の大手電子商取引(EC)プラットホーム、淘宝(タオバオ)のライブ配信ルームで「ロケット」が売られたことが話題になったが、3月30日から「衛星」も購入できるようになった。中国の民間衛星メーカー「九天微星」が同日、淘宝のショップ「中国航天太空上新」で自社の唐山衛星工場で生産した商業衛星3製品の販売を開始した。価格は200万元(1元=約19円、約3800万円)から。人工衛星がECプラットホームで一般向けに販売されるのは世界初とされる。
最も安い「1U立方星」は「ルービックキューブ」大の衛星。重さ5キロ未満で、主に教育分野で利用される。例として、学校内に衛星測定・コントロールポイントを設置し、衛星の電波を受信したり、軌道上の衛星データをリアルタイムでモニタリングすることができる。学生が衛星を操作してリモコン撮影することも可能になる。
「九天微星」の謝濤董事長は「唐山衛星工場で生産を開始したことで、『衛星の打ち上げは費用がかかる』という問題を解決できた。衛星研究開発のプロセス最適化や中国国産コアシステムの採用、キーテクノロジーの研究開発などを通じて、自動車のように衛星も生産できるようになる。中国の衛星価格は数年以内に60%下がると予測している」と説明した。
人工衛星が初めてECプラットホームで一般向けに発売されたことについて、謝氏は「今後を見据えた試みだ。まず、科学知識の普及や潜在的顧客を発掘することに重点を置いているが、今後、中国の衛星インターネット産業の発展に伴い、商業衛星の用途もさらに幅広くなり、淘宝で日用品を買うように衛星を購入することが可能になる」との見方を示した。
宇宙関連の科学知識普及専門家、王君毅氏は「淘宝で衛星を販売することには特別な意義がある。中国の宇宙事業はここ数年、急速に発展しており、一般の人々の注目や支持が欠かせない。メーカーが淘宝で衛星を販売するというのは、単なる販売ではなく、国民的ECプラットホームを通じて宣伝し、科学知識を普及させるという意味合いが強い。民間宇宙飛行事業が本当の意味で成熟するためには、各世代の人々の努力と継承が欠かせない」と述べた。