2023年04月10日-04月14日
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西部から東部への水素輸送パイプライン、国家計画に組み込まれる

2023年04月11日

 中国石油化工集団(中国石化)は10日、中国初の「西氫東送」(西部地域の水素を東部地域に輸送する)パイプラインモデルプロジェクトが「石油天然ガス全国ネットワーク建設実施案」に組み込まれたと明らかにした。これにより、中国の水素ガス長距離輸送パイプラインが新たな発展段階に入った。

 同案は、国家エネルギー局が3月に通達したもので、中長期石油天然ガスパイプライン計画と5カ年石油天然ガス発展計画のパイプライン建設任務の細分化と実行を目的としている。

 中国石化の馬永生董事長は、「風力や太陽光などの再生可能エネルギーで製造されるグリーン水素は、最も発展のポテンシャルが高いクリーンエネルギーの一つとされる。内モンゴル自治区は風力・太陽光資源が豊富で、グリーン水素発展において恵まれた優位性を持つ。『西氫東送』は同自治区ウランチャブ(烏蘭察布)市と北京市を結び、パイプラインの全長は400キロ以上となる。中国で初めて省・自治区・直轄市を跨ぐ、大規模かつ長距離の水素輸送パイプラインで、完成後は京津冀(北京市・天津市・河北省)地区の化石エネルギーによる既存の水素製造を代替し、国内におけるグリーン水素の需給ミスマッチを大きく緩和する。今後の同様のパイプライン建設にとってモデル的、牽引的役割を果たし、中国のエネルギーモデルの転換・高度化を後押しする」と説明した。

 馬氏によると、パイプライン1期の輸送力は年間10万トンで、今後、年間50万トンの拡大能力を備える。また、潜在する水素源に接続できるように、沿線の複数地域で接続ポートを確保する。中国石化は今後、同パイプラインを活用し、支線や水素マザーステーションを建設。京津冀水素エネルギー回廊の構築を支援し、同地区の二酸化炭素排出量ピークアウトとカーボンニュートラルの目標達成を後押しする。

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