宇宙分野初のビッグサイエンス装置「地上宇宙ステーション」が試運転開始

2023年04月21日

　中国ハルビン工業大学宇宙環境地上シミュレーター常務副総指揮の李立毅氏は16日、宇宙環境地上シミュレーター建設の最新進捗状況について、「本体の建設がすでに完了し、現在は総合調整や試運転を実施している。一部装置ではユーザーに科学研究サービスを提供しており、プロジェクト全体は年内に検収を終える見込みとなっている」と説明した。これにより、中国の宇宙分野で初のビッグサイエンス装置となる「地上宇宙ステーション」がハルビンに登場し、中国の宇宙飛行事業と宇宙科学探査能力の向上を後押しすることになる。

　李氏は「ハルビン工業大学が中国航天科技集団有限公司と共に建設を請け負った宇宙環境地上シミュレーターは、地球上に実際の宇宙環境に似た地上宇宙ステーションを建設するものだ。宇宙でしかできなかった多くの実験が今後ここでも行えるようになり、科学者が宇宙で実験を行う難しさが解消される。宇宙飛行士は将来、ここで月や火星などの表面環境を体験し、適応できるようになる」と述べた。

　このビッグサイエンス装置はハルビンの「宇宙環境地上シミュレーター建設パーク」にあり、広さはサッカーコート約50面分に相当する。宇宙総合環境実験棟、宇宙プラズマ科学実験棟、宇宙磁気環境科学実験棟、動物培養室の4施設がある。

　李氏は取材に対し「装置建設の波及効果は非常に顕著で、宇宙環境シミュレーションをめぐる多くの重要技術が、建設需要の牽引によってブレイクスルーした。中国は現在まで120件余りの国際・国内発明特許を出願している。国内外の科学者は地上宇宙ステーションでの科学実験を待ちわびており、すでに国内外の110以上の大学・研究機関と装置のユーザー協定を結んでいる」と語った。