中国では、CO2(二酸化炭素)排出量ピークアウトとカーボンニュートラルの「二つの目標」に向け、新型エネルギー貯蔵産業が力強く台頭している。製造業が盛んな広東省はここ数年、同産業の拡大を積極的に進めており、同省政府弁公庁が3月に「広東省における新型エネルギー貯蔵産業の質の高い発展の推進に関する指導意見」を発表し、2027年に省全体の新型エネルギー貯蔵産業売上高を1兆元(1元=約19円)、設備容量を400万キロワット(kW)にすると打ち出した。これは今後4年間で同省の新型エネルギー貯蔵設備容量が約7倍、産業の売上高が約7.6倍になることを意味する。広州日報が伝えた。
新型エネルギー貯蔵とは、揚水発電を除く新型エネルギー貯蔵技術を指し、新型リチウムイオン電池やレドックスフロー電池、フライホイール、圧縮空気、水素(アンモニア)エネルギー貯蔵、熱(冷)エネルギー貯蔵などが含まれる。新エネルギーを主体とする新型電力システムは現在、中国のエネルギーモデル転換と経済発展に重要かつ新しい原動力を提供している。安定的で安全な貯蔵技術は、業界から新型エネルギー体制を構築する重要部分とみなされている。
22年における広東省の新型エネルギー貯蔵産業の売上高は約1500億元、設備容量は71万kWだった。同省工業・情報化庁党組メンバーで副庁長の曲暁傑氏は「広東省は中国でエネルギー貯蔵電池産業の発展が最も早く、産業のカバー範囲が最も全面的で、最も成熟した地域で、電池材料や設備、セル、エネルギー貯蔵コンバーター、エネルギー貯蔵システム、電池リサイクルなどの産業チェーンの各部分をカバーしている。産業の技術水準がここ数年、持続的に向上し、産業規模が持続的に拡大している。エネルギー貯蔵電池出荷量が全国をリードし、エネルギー貯蔵コンバーターが全国の4割の市場シェアを占めており、全体的な技術の研究開発や設備製造で全国トップレベルになっている」と述べた。
広東省の新型エネルギー貯蔵産業は、高い実力を持つ製造業が基礎となっている。東莞市エネルギー貯蔵産業連盟の湯利軍秘書長は「東莞市のエネルギー貯蔵業界は電子情報産業の高い実力の蓄積に支えられており、多くの企業がコンシューマ電子機器分野からモデルチェンジした」と説明した。祥鑫科技の新エネルギー事業担当者は「広東省はエネルギー貯蔵業界で優位性があり、BYDや億緯鋰能(EVEエナジー)、鵬輝能源など、著名なエネルギー貯蔵電池サプライヤーや川上部品サプライヤーを擁し、エネルギー貯蔵産業チェーンが整備されている。また、エネルギー貯蔵分野の企業が複数あり、新エネルギー産業発展の基礎をしっかり固めている」と述べた。