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バリアフリーな老後の暮らし 高齢者向けモデルルームが北京で公開

2023年05月25日

 ドアを開けるとセンサーライトが自動点灯し、火を使って調理をした際にコンロを消し忘れると自動で止まり、転倒監視装置が設置されている...。中国北京市東城区でこのほど、コミュニティの「高齢者向けモデルルーム」が公開された。シャワールームとトイレ以外には手すりがなく、訪れた人を驚かせている。北京日報が伝えた。

 朝陽門街道市民活動センターにあるこのモデルルームは、1戸の面積が26平方メートル。室内にはリビングやキッチン、寝室、トイレなどがあり、食事や生活、トイレ・入浴などの場を高齢者向けにバリアフリー設計した。

 玄関から入り下駄箱の前に立つと、上部のセンサーライトが点灯する。高齢者が夜に帰宅した際に、周りがはっきり見られるように設計された。

 壁のスマートスクリーンに「照明を全部消してください」と指示を出すと、室内は一瞬で暗くなる。このモデルルームはスマートホーム技術を採用しており「声による消灯」が可能になっている。明かりを消すだけでなく、家電製品やカーテン、音楽再生などもコントロールできる。

 キッチンでは、タッチセンサー付きの昇降棚が見学者の目を引いた。手を棚の方にかざすと、調味料が入ったつり棚が降りてくる。高齢の見学者はこれに驚きつつ、「年を取ると高いところが怖くなり、物を取るのも大変だ。キッチンにこの装置があれば、手を伸ばしただけで棚が降りてくるので、大いに手間が省ける」と嬉しそうに語った。

 分析によると、高齢者が自宅で転倒するケースの約半数が、トイレやシャワールームで起きており、こうした浴室スペースの改善が高齢者向けリフォームの重点となっている。このモデルルームでは、浴室スペースの床には段差がなく、ドアは引き戸になっている。天井には転倒監視装置も設置された。

 特筆すべき点として、室内のどこにも手すりが見られないことがある。手すりをテーブルや台の中に「隠した」ためで、デザイン責任者の趙元輝さんは「高齢者向けバリアフリーの改修は、高齢者の心理状態にも十分な配慮が必要だ。家の中のあちこちに手すりがあると、空間を狭めるだけでなく、一種の強い心理的暗示を高齢者に与える可能性もある」と説明した。

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