2023年06月05日-06月09日
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浙江省の大陳島、「ゼロカーボンの島」目指す

2023年06月09日

 中国浙江省台州市の沖合約23キロに浮かぶ大陳島では、黄魚養殖基地広源漁業公司がキグチの「オール電化」養殖を行っている。中国経済網が伝えた。

 桟橋を歩いていても、ガソリンの匂いがせず、機械の大きな騒音も聞こえてこない。

 同市には風力や太陽光など、豊富な再生可能クリーンエネルギー資源があるが、大陳島では夜間の風力資源が余り、効果的に活用できていなかった。水を電気分解して水素を製造し、ピーク時に水素発電するにはどうすれば良いか。この課題を解決するため、同島で昨年6月、「グリーン水素」総合エネルギーモデルプロジェクトが始まった。クリーン電力からクリーンガスエネルギーへの変換と供給が行われ、これにより「全プロセスにわたるゼロカーボン」が実現。同年7月にはフレキシブル低周波送電モデルプロジェクトが実施された。プロジェクトは35キロボルト(kV)フレキシブル交流周波数切換ステーションや低周波変圧器など複数の設備が開発され、送電効率を30%以上高めた。

 国網台州電力供給公司の斯建東総経理は「これら2件のプロジェクトの稼働は、大陳島の『ゼロカーボンの島』建設における重要な進展といえる。この建設では、世界をリードするプロジェクトの活用が基本となっており、グリーン低炭素の発展理念が鍵になる」と述べた。

 斯氏は「オール電化の養殖、民宿、風景区、交通という目標を達成し、安全で信頼できる、グリーン低炭素の『ゼロカーボンの島』を構築するため、大陳島はグリーンエネルギー、エネルギー供給、エネルギー貯蔵の3点をいち早く実施した。洋上風力発電や太陽光などの再生可能クリーンエネルギープロジェクトを重点的に建設し、クリーンエネルギーの代替を進めていく」と説明した。

 同島には現在、風力発電機34基があり、年間4万5000トンの二酸化炭素(CO2)排出量削減が可能となっている。また、フレキシブル低周波送電モデルプロジェクトでは年間4480トン、水素エネルギー総合利用モデルプロジェクトでは9.77トンのCO2排出量をそれぞれ削減できる。

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