2023年06月12日-06月16日
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中国の科学者、塩素含有廃プラスチックを高付加価値新素材に

2023年06月12日

 中国科学院上海ケイ酸塩研究所の黄富強首席研究員のチームがこのほど、新たな常温脱塩素法を使って、塩素含有廃プラスチックを高付加価値の新素材へと変え、効率的で無害な高度化回収を実現した。これらの素材はグリーン・環境保護や新型エネルギー貯蔵、医療機器、ウェアラブルデバイスなど複数の分野で幅広く応用できる。関連成果はこのほど「Nature Reviews Methods Primers」に掲載された。

 塩素含有プラスチックは日常生活で広く使われているプラスチックの一つで、廃棄された塩素含有プラスチックは安定性が極めて高く、分解されにくい。その上、従来の高温熱分解では複数の有毒塩素含有有機物を放出し、生態環境と人類の健康に害を及ぼす恐れがある。

 黄氏は「地球にはすでに億トン単位の廃プラスチックが蓄積され、驚異的なペースで増え続けている。そこで、コスト効果と環境にやさしい利点を兼ね備えた高度化回収の新たな方法を開発し、塩素含有プラスチックをグリーンかつ効率的に処理しようと考えた」と説明した。

 従来のプロセスでは、塩素含有プラスチックの焼却処理が行われていたが、分解過程において二酸化炭素と塩素含有有毒ガスが生じていた。新たな常温脱塩素法を採用した高度化回収により、すべての塩素元素を廃プラスチックから直接切り離し、最終的に廃プラスチックを高付加価値の新素材へと変える。

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