2023年06月12日-06月16日
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通信速度が5Gの10倍となる5.5G、2025年の商用化目指す

2023年06月13日

 中国北京市でこのほど開催された中国国際情報通信展覧会では、5.5Gの最先端活用が注目を集めた。専門家によると、通信速度が5Gよりも10倍速い5.5Gは、2025年の商用化を目指しており、消費者向け活用の新たなブレイクスルーが期待される。北京日報が伝えた。

 通信専門家の項立剛氏は「5.5Gは通信速度を5Gの10倍に高め、遅延を10倍短縮し、接続密度を10倍増やし、測位精度も5Gの準メートル級からセンチメートル級へと高める。これらの重要な新技術は、3Dインターネットやメタバース時代の到来を推進することになる」と紹介した。

 中国通信標準化協会の聞庫理事長は「5.5Gは単なる5G技術の強化ではなく、無電源IoTや通信・センサー統合などの新技術を導入し、5Gの多元的な能力を形成する。5Gネットワークの使用効率を最大化すると、相乗効果を発揮する」と述べた。

 これらの新技術は5.5Gにさらに多くの驚きをもたらす。電源に接続しなくても薄い「シール」を貼るだけで信号をキャッチできるようになるので、宅配やフードデリバリーでこの小さな無電源IoT端末を貼ると、正確な位置をリアルタイムで追跡できるようになる。無電源IoT端末にはRFコイルが内蔵されており、基地局からの信号を受信し、信号によって情報を伝送する。応用シーンは非常に幅広く、その端末を倉庫の商品に貼ればスマート倉庫になり、管理を最適化できる。また、家電に貼れば温度などの情報をモニタリングし、安全対策を行うことができ、工場内で使用すれば生産効率が高まり、生産ラインの配送状況もモニタリングできる。

 中国国際情報通信展示会の中国聯通(チャイナユニコム)の展示ブースでは、コンパクトな通信・感知・計算・制御一体型基地局が注目を集めた。同社のスタッフは「この基地局は5.5Gネットワークに基づき、通信ネットワークと感知ネットワークを一体化している。これによって自動車は歩行者や付近の車両を速やかに感知し、事故を回避できる。現在のスマート運転は、多くが車載センサーに依存しているが、将来的には道路にこのような基地局を設置することで、すべての車でスマート運転が実現できる」と説明した。

 5G商用化からすでに4年が経った。今年4月末現在、中国の5G基地局は累計273万カ所以上となり、5Gネットワークが国内全ての地級市(省と県の中間にある行政単位)と県政府所在地をカバーしている。5G携帯電話ユーザー数は6億3400万人に達している。

 中国工程院院士(アカデミー会員)の鄔賀銓氏は展示会で「5Gの機能と効果は現在、産業分野に集中しており、消費者向けの応用はまだ十分ではない。鉱業や港湾、電力などの重点業界では5G応用ソリューションが多いが、消費者の5Gに対する実感は深まっていない。5.5Gはこの局面を打破する鍵となる可能性があり、25年の商用化が期待される」と述べた。

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