2023年06月19日-06月23日
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中国北方地域の植林、カーボンシンク効果の評価で新たな成果

2023年06月20日

 北京大学カーボンニュートラル研究院の朴世竜院士(アカデミー会員)のチームは、中国の三北防護林で数年間にわたる大規模ペアサンプリング調査を実施した。チームは大規模サンプリング調査システムにより中国北方地域における植林のカーボンシンク増加効果を評価するとともに、人工林の植生のカーボンシンクと土壌カーボンシンクの非対称的変化が土壌の窒素濃度によって調節されることを解明した。これは植林によるカーボンシンク増加の正確な計算と予測・評価に対して前向きな意義を持つ。研究成果は「土壌窒素に調節される植林後の植生と土壌の非対称的炭素固定」とのタイトルで、国際的学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。光明日報が伝えた。

 研究チームは対照サンプル163点と植林サンプル614点を選び、計2万5000本余りの樹木を調査。1万1000点余りの土壌サンプルを収集・分析し、機械学習モデルと結びつけ、北方地域における大規模な植林によるカーボンシンク効果を体系的に試算することで、植生炭素貯蔵庫と土壌有機炭素貯蔵庫の動的関係を調節する土壌窒素の役割を解析した。

 研究によると、北方地域における大規模な植林は約9億1300万トンのカーボンシンクをもたらし、うち74%は植生生物量の増加、26%は土壌有機炭素固定によるものとなっている。朴氏は「興味深いのは、生物量と土壌有機炭素貯蔵庫が動的な非対称的変化を示したことだ。土壌窒素の増加に伴い生物量カーボンシンクは先に増加してから減少するが、土壌有機炭素はカーボンシンクから炭素源へと変化している。この結果は、土壌窒素が人工林の生物量の変化や動的な土壌有機炭素に対して重要な調節的役割を持ち、両者の栄養分の需要によるトレードオフを示している。このトレードオフは異なる樹種の間でより際立っている。生物量に基づき土壌カーボンシンクを試算する方法には大きな不確実性があり、炭素循環モデルは植物の養分吸収の土壌有機炭素分解への影響をさらに考慮する必要がある」と説明した。

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