「中国天眼」と呼ばれる500メートル口径球面電波望遠鏡(FAST)が再び重要な進展を得た。中国のパルサータイミングアレイ(CPTA)研究チームは、FASTの観測データを利用し、ナノヘルツ重力波の存在に関する鍵となる証拠を発見した。関連研究成果は29日、「Astronomy and Astrophysics」のオンライン版に掲載された。科技日報が伝えた。
ナノヘルツ重力波研究は、物理学と天文学分野の国際競争の焦点の一つになっている。理論的には、ナノヘルツ重力波は主に超大質量ブラックホールの合併によって生まれると言われており、北米ナノヘルツ重力波観測所、欧州パルサータイミングアレイ、豪州パークスパルサータイミングアレイがそれぞれ20年に及ぶナノヘルツ重力波の観測を行ってきた。
論文の責任著者で、中国科学院国家天文台/北京大学研究員の李柯伽氏は、「FASTを利用することで、57個のミリ秒パルサーの長期的かつ体系的な観測を行い、これらのミリ秒パルサーで銀河系スケールの重力波検出器を構成し、ナノヘルツ重力波を探した。FASTが集めた3年5カ月のデータを深く分析し、CPTAチームはナノヘルツ重力波の存在に関する鍵となる証拠を発見した」と語った。
特筆すべきは、欧州パルサータイミングアレイ・インドパルサータイミングアレイ、北米ナノヘルツ重力波観測所、豪州パークスパルサータイミングアレイなどのパルサータイミングアレイ協力チームも同時に類似する結果を発表したことだ。李氏は「4つの国際チームがそれぞれナノヘルツ重力波の存在に関する鍵となる証拠を取得した。研究結果の相互の裏付けが可能で、この成果の正確性がさらに上がった」と述べた。