2023年07月03日-07月07日
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野菜生産地の近代化を進める山東省蘭陵県

2023年07月03日

 中国山東省南部に位置する蘭陵県は、寿光市と共に野菜生産地として知られている。年間生産量は500万トンに達し、4500万人分の年間消費量を上回っている。中央テレビニュースが報じた。

ビニールハウスからスマート野菜工場へ

 野菜栽培面積は年間8万ヘクタールで、地元住民の60%以上が野菜産業に従事している。同県は農家の収入源の70%が野菜産業で「山東省南部の野菜畑」と呼ばれているが、ビニールハウスはすでに「ギガファクトリー」へとグレードアップしている。

 山東緑沃川農業有限公司の竜学源総経理によると、同社のビニールハウス作業は全て自動化されており、約3.73ヘクタールの作業をわずか4人の作業員が担当している。

 ビニールハウス内は、気温が下がると暖房設備が稼働し、日差しが弱い時は天窓が開き、水や肥料は直接野菜の根元に送られ、モノのインターネット(IoT)やロボットといったスマート設備が、野菜栽培の効率をアップさせている。つまり野菜が「高級スマートホームに住んでいる」と言える。

 同県では各農家が野菜の「スマートホーム」を導入できるように「ハイグレード版」のほか「レギュラー版」も用意している。ある農家は「ビニールハウス1棟で、年間6万~7万元(1元=約20円)の収入を得ることができ、出稼ぎよりも稼げる」と語った。

野菜栽培から食品加工へ

 蘭陵県の人々は、野菜栽培に真摯に取り組みながら食品加工にも照準を合わせている。地元の調理食品企業の商品は現在、欧米諸国や東南アジア諸国に輸出されるようになった。

 県内の食品加工関連企業は455社に達している。商品は肉や卵、ミルク、野菜など、12ジャンル200種類にわたる。インスタント食品や加熱食品、即席調理食品、食材詰め合わせ食品などが産業クラスターを形成し、年間売上高は約100億元となっている。

1次産業から3次産業へ

 蘭陵県では、野菜栽培が1次産業から2次産業に発展しただけでなく、個性豊かな3次産業への発展を遂げている。ビニールハウスを国家4A級(上から2番目)の風景区にすることで、大きなカボチャや野菜施設、農業機械を見学できるようにしており、毎年約130万人の観光客が訪れている。観光客は農園の景色を楽しむほか、野菜栽培の知識を学び、体験できる。

 野菜が蘭陵県の代名詞となり、美味しい野菜が栽培されるだけでなく、農家の人々が豊かな生活を送れるようになった。蘭陵県は独自に切り開いた農業融合発展の道を歩んでいる。

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