中国石油化工集団(中国石化)によると、中国初の1万トン級太陽光発電グリーン水素モデルプロジェクトである庫車(クチャ)グリーン水素モデルプロジェクトが6月30日、水素の製造を開始した。水素製造規模は年間2万トンとなる。人民網が伝えた。
同プロジェクトは中国石化新星公司が担当・実施する太陽光発電、グリーン電力輸送、グリーン電力水素製造、水素貯蔵、水素輸送、グリーン水素精製などのグリーン水素製造・利用フローを統合したモデルプロジェクトとなる。新疆ウイグル自治区の豊富な太陽光資源により発電し、グリーン水素を直接製造する。太陽光発電のほか、送電・変電線、電気分解法による水素製造、水素貯蔵・輸送、公共プロジェクト・関連補助生産施設を備えている。電気分解法による水素製造能力は年間2万トンで、水素貯蔵能力は21万立方メートル、水素輸送能力は1時間当たり2万8000標準立方メートルに上る。
水素エネルギーは、二酸化炭素(CO2)排出量ピークアウト・カーボンニュートラル(ダブルカーボン)の目標実現を支え、エネルギーのモデル転換を推進する重要な担い手でもある。グリーン水素は太陽光や風力などの再生可能エネルギーの発電によって直接得られるもので、生産プロセスにおいて温室効果ガスがほぼ発生しない。国家エネルギー局は、今年4月に通達した「2023年エネルギー活動指導意見」で、新型エネルギー貯蔵重要技術とグリーン水素製造・貯蔵・輸送技術の研究開発を加速させ、エネルギー貯蔵と水素エネルギーの大規模応用を推進すると打ち出した。
中国石化新星公司の関係者は「プロジェクトが製造するグリーン水素は現地の中国石化塔河煉化公司に供給される。既存の天然ガス化石エネルギーに代わって水素を製造し、CO2排出量を年間48万5000トン削減する」と述べた。
中国は現在、水素エネルギー産業の展開に取り組んでいる。国家発展改革委員会と国家エネルギー局がこのほど通達した「水素エネルギー産業発展中長期計画(2021~35年)」では、25年までに副生水素と再生可能エネルギーによる水素製造の現地利用を中心とした水素エネルギー供給体制をほぼ構築すると打ち出している。